サン、「Software Showcase 2006」でブロガーズ・ミーティングを並催

サンはJavaのオープンソース化、Solarisのダウンロード数増加でソフトウェアの大きな変革期を迎えている。同社の戦略は、オープンソース協調の先導として注目されている。

» 2006年12月13日 16時03分 公開
[ITmedia]

 12月8日、サン・マイクロシステムズ主催の「Sun Software Showcase 2006」が東京・用賀で行われた。

 開催冒頭で同社、ソフトウェア・ビジネス統括本部の高橋徹主幹部長は、IBMやMicrosoft、Appleなどが昨今、ITを取り巻くさまざまな分野へとサービスを広げていることに触れ、また、サンもJavaを中心とするソフトウェア、SPARC T1やOpteron x64を中心とするサーバ分野はもちろん、Stragetech買収によるストレージ分野など、新たな分野へとチャレンジしていることをコメントした。

 「Sun Software Showcase 2006」は、同社の最新動向を紹介するとともに、今後の方向性を語る上で重要視するイベント。同社のビジョンである“The Network is Computer”を強く印象付けるとともに、製品とのかかわりが広く紹介された。

 基調講演には、アイ・ティー・アール、代表取締役の内山悟志氏が招かれ、ITにおける統制をテーマとした統制と競争優位の両立を目指した企業の在り方についてが語られた。

 内山氏は、最近の傾向を見ると内部統制についての見解で“守りのコメントが多い”と指摘した。この見方からは、それではITを積極的に利用しなければよいのでは? などという意見も多く、真意を失われがちな点を懸念している。このため、統制を行うとともにITの利用、適正に動作しているかの両立が重要なテーマだと強調した。

 また、国内のIT投資動向としてのデータを挙げ、日本でも3%を超える投資が平均値となってきており、欧米の4%に迫るほどの割合になっていることも挙げた。

 その一方で、ITにおける投資割合を見ると、経常費用が6割を超えており、戦略的な費用投資は少ないのだという。この点は、ITの効率化に対する投資がうまく進んでおらず、課題であることを指摘した。

ブロガーを招く「ブロガーズ・ミーティング」の開催

 ITmediaのビジネスブログ・メディア「オルタナティブ・ブログ」では、定期的にブロガーを招くベンダー訪問を行っている(関連リンク)。今回は、「Sun Software Showcase 2006」を機に、有志ブロガーがサンへと招かれミーティングが開催された。

 ミーティングでは、ソフトウェア・ビジネス統括本部の高橋徹氏がサンのビジョンについて、ソフトウェア・ビジネス統括本部の白川晃主幹部長からは、Sun Rayによるサーバサイドにおけるデスクトップ管理が紹介された。

 白川氏は、「多くのPCハードウェアベンダーは、これまでの量産ノウハウでシンクライアントを作っている。しかし、幸か不幸かサンはPC市場での成功体験がない」と言い、Sun Rayは一貫したサーバサイドの観点でデスクトップ実現を考えていることを語った。また、最近ではWindowsデスクトップもサポートすべく、Windows Server 2003との協調にも積極的であることに触れた。Windowsとは、リプレースではなく共存姿勢であり、Sun Rayのシェアはワールドワイドで年々着実に増えているという。

ブロガーには、Sun Ray向けの試作ノートPCも公開された

 「SunRayクライアントのプロセッサはMIPS。セキュリティに対しても堅牢なことがポイントになっている」と白川氏。クライアントがブートするためには、わずか300Kバイトのロード領域のため、ハードウェア構成も最小で済む。このため省電力な点でも市場ニーズがあり、優位性があることを強調した。

 システムズ・ビジネス統括本部、シニアセールススペシャリストの夏目昌樹氏は、同社のSPARCプロセッサ戦略について、アプリケーション分類がサーバプロダクトに反映されていることを挙げた。「それぞれのアプリケーション領域に適したプロセッサを提供する」と同氏。

 SPARC T1プロセッサについて夏目氏は、「市場のトランジスタ集積率は2年で2倍と上がっていても、DRAMのスピードは6年で2倍しか上がってない。プロセスルールを考え直すことでT1の概念が出来上がった」と語った。

 また、AMD Opteron x64プロセッサを搭載したモデルも急激に出荷数が伸びていると言い、Sun Fire x64エンタープライズサーバについて触れた。同サーバでは、信頼性を上げるためケーブルレスを始め、保守性を考慮したエラー表示をパーツごとに徹底。メモリ上のバンク特定も容易なものとなっている。

 T1の後継となるNiagara2については2007年の出荷が予定されていると言い、並列動作可能なスレッド数を64へと倍増、コアごとのFPUを内蔵することで浮動小数点演算性能の向上などが優位さになると言及した。

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