最新のインターネットAPサーバ「IIS 7.0」の実力を探るWindows Server 「Longhorn」 徹底研究(1/2 ページ)

Windows Server「Longhorn」には、最新のインターネットサーバ機能「Internet Information Services 7.0(IIS 7.0)」が搭載されている。モジュール構造のアーキテクチャを採用したことで、より安定性に優れ、堅牢なサーバを構築できるようになった――。

» 2007年01月10日 08時00分 公開
[敦賀松太郎ITmedia]

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アークテクチャが改善されたIIS 7.0

 Windows Server 2003に搭載されたIIS 6.0では、IISを実行する仕組みが改良され、Windows 2000のIIS 5.0に比べ安定性が大きく向上した。特に、ユーザーコードとコアプロセスを分離して実行する「ワーカープロセス分離モード」が採用されたことで、Webアプリケーションのコードに起因する障害が発生しても、他のWebアプリケーションに影響を与えることが少なくなった。

 しかし、依然として従来のIISの欠点を引きずっていた部分もあった。IIS 6.0は、サーバのコアコンポーネントにさまざまな機能を実装したモノリシック構造であったため、カスタマイズやサーバ機能拡張は限定され、機能が固定されていた。また、操作が煩雑であり、エラーを引き起こす確率も高いという欠点もあった。

 そうしたIIS 6.0の欠点を解消し、まったく新しいアーキテクチャを採用したのが、IIS 7.0である。IIS 7.0はコンポーネント構造になっており、モジュール化した機能群のうち必要な機能のみを導入する。したがって、サーバの動作は軽量でカスタマイズも容易になり、特定用途に特化させることも可能になった。

 例えば、Webアプリケーションを構築するのに多用されているASP.NETは、IIS 6.0ではISAPIエクステンションによって実装され、ASP.NETリクエストしか処理できなかった。また、コアプロセスにもASP.NETにも認証やハンドラのマッピングなど類似機能があり、処理に無駄があった。それがIIS 7.0では、ASP.NETモジュールを直接サーバにプラグインし、すべてのリクエストを処理するように改善した「統合モード」により、よりシンプルかつ強固なWebアプリケーションが構築できるようになっている。従来のASP.NETを実行可能にする「クラシックモード」も用意されている。

複数の管理方法とツールを提供

 IIS 7.0では、管理機能も大きく改善されている。管理は、グラフィカルなインタフェース「IISマネージャ」を利用する方法のほかに、コマンドラインから操作できる「AppCmd」コマンドが新たに用意された。WMIによるスクリプトなどを利用して設定することもできる。ただし、Windows Server "Longhorn"ベータ2のIIS 7.0は、マイクロソフトの新しいシェルスクリプトエンジン「Windows PowerShell」には対応していない。製品版のIIS 7.0でサポートされるかどうかも未定である。

 IISマネージャは、従来同様にMMCのスナップインとして提供される。ただし、見た目と操作性は、より使いやすく改良された。新しいIISマネージャでは、IISもASP.NETも同じ管理ツール上で個別に管理できるほか、サーバの実行状況を把握する機能も実装された。また、IIS独自の管理者を登録するとが可能になり、Windowsサーバ管理者とは別のユーザーにWebサーバ管理者を委任できるなど、柔軟な権限設定が行える。ファイアウォールの内部にあるサーバを管理する場合も、HTTPでIISマネージャにリモート接続することが可能。XMLベースのマネージドコードを利用して、ツール自体の機能を拡張する機能もある。

 新しいコマンドのAppCmdは、IIS 7.0の構成情報に簡単に、素早くアクセスするために用意された。IIS 6.0では、VBScriptとして用意されていた機能に代わるものだ。アプリケーションプール、ワーカープロセス、サイトなどをフィルタリングし、その結果を表示することができる。

見た目と操作性が向上した「IISマネージャ」
IIS 7.0の構成情報にアクセスするために用意された「AppCmdコマンド」
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