ウェブ上に「もう一つのオフィス」が中堅・中小企業向けASPサービスが本格化

ASPは以前から注目をされていた技術だが、ようやく中堅・中小企業向けのIT総合サービスに利用するベンダーが現れ始めた。大塚商会ではこれまでのサービス&サポートメニューを再編し、統合ブランド「たよれーる」を立ち上げた。同社では給与振込業務代行などのASPサービスを重点的にアピールしていくという。

» 2007年01月15日 09時50分 公開
[アイティセレクト]

ASPサービスが本格化

 自前の業務システムを構築するのではコストがかかりすぎるという理由から、サービス側があらかじめシステムを構築し、ウェブ経由で利用者がアクセスして使うASPサービスはこれまでも注目されてきた。しかし、通信環境がユーザーごとに不揃いだった時代が長く続いたのと、セキュリティ上の懸念から、いま一つ、爆発的な広がりは見せることはなかった。

 しかし、ここに来て障害となると見られていた要件が、中堅・中小企業という広い裾野を持った市場でもクリアされ、日本のこの市場に強みを持つ大塚商会がついにASPの分野に本格参入を開始したという格好だ。約70万社の既存顧客を持つ同社が、全てのユーザーに対してASPサービスを本格的に開始するのは小さなサービスを特定の顧客に用意するのとはわけが違う。それだけに大塚商会のこの動きは「ASPの時代」が本格的に到来したことを意味する。

 「ASPやBPOなどといった言葉を聞いただけで、ウチには関係ないと考えてしまうお客様もいらっしゃいますが、実際にはもう大企業だけのものではなくなっています」と同社テクニカルプロモーション部部長の後藤和彦氏は語る。給与振込代行サービスでは、振込手数料を一律化することが可能で、低価格化に抑える仕組みにもなっている。新しいソフトを購入しインストールすることもなく、すぐにサービスを受けられる、それ以上のメリットが用意されている。

ITサービスを効率よく 

 大塚商会はこれまでも「アルファオフィス」「アルファメール」など業務サービスをASPで展開してきたが、サービスブランドを統合したのを機に、コールセンターも「たよれーるコールセンター」として、一本電話をかければそこでどんな要望にも応えることができるということをアピールしていくという。

 これまで、特に中堅・中小企業では、間接業務の各分野でそれぞれ違うサービス会社にコンタクトをとるケースが多かった。そのため、本来業務とは関係のない仕事で多くの時間が費やされるというムダが発生し、経営者としては頭の痛い問題だったといえる。

 大塚商会の今回の動きは、いわゆる業者、サービス会社として大きな網を張るという以上に、各ユーザーに「もう一つのオフィス」をASPを中心とした仕掛けで作り出すということにもつながるといえる。

 大塚商会では近く東京、大阪、中部の各都市で「実践ソリューションフェア 2007」を開催し、こうした便利なソリューションの活用事例をユーザーに直接訴えかけるという。

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