Javaの生みの親であるジェームズ・ゴスリング氏が、再び、言語に関する論争の渦中に舞い戻ったようだ。
Javaの生みの親、ジェームズ・ゴスリング氏が言語論争の渦中に舞い戻ったようだ。
Sun Microsystemsのフェローであるゴスリング氏は最近のブログ記事の中で、言語論争ではいつも不愉快な思いをしたと述べている。しかし、これまで動的言語に関する自身の論評に対する非難をしのいできた同氏にとって、こういった論争はお手のものだ。
「言語の機能をめぐる論争で楽しかったことは一度もない。そんな論争よりも、機能を実装、検証する方がずっと楽しい」とゴスリング氏は1月8日付の記事に記している。
さらにゴスリング氏は、Javaのオープンソース化で、より多くの開発者が同言語を「いじくり回す」ようになるだろう、と指摘する。
「javacをいじくり回すのは実に楽しい」と同氏は語る。javacというのはJavaコンパイラである。
「わたしは何年も前から、『Kitchen Sink Language』というWebサイトを実験的に立ち上げたいと考えていた。これは、どんなばかげた言語機能でも発表することができ、開発者がそれを自由に試すことができるという場所だ。javacは既にオープンソース化されているため、これは簡単なことだ」(ゴスリング氏)
しかしゴスリングの同僚であるSunのjavac担当技術主任、ペーター・フォン・デル・アーエ氏が、ゴスリング氏の機先を制する形で「KSL」(Kitchen Sink Language)プロジェクト(Sunのオープンソースインキュベータープロジェクト)と呼ばれるサイト(https://ksl.dev.java.net/)を立ち上げた。アーエ氏は、JavaコンパイラAPIであるJSR(Java Specification Request)199仕様の責任者でもある。
ゴスリング氏の記事にコメントを寄せた投稿者の中には、かつての閉鎖的な日々を懐かしんでいる人もいるようだ。
「barspi」というハンドルネームでゴスリング氏の記事にコメントを投稿した人は、「ジェームズ、あなたは言語機能をめぐる論争で楽しかったことは一度もないと書いているが、わたしもまったく同感だ。しかしJavaがオープンソースの下で公開されたことで、この種の論争はさらに頻繁になるだろう。Javaが非オープンソースであった方が良かったと、わたしが思う最大の理由はそこにある」と記している。
しかしフォローアップ記事の中でゴスリング氏は、言語論争への嫌悪感についてコメントしたbarspi氏は誤解しているようだと述べている。
ゴスリング氏は1月9日付のブログ記事で次のように記している――。
「わたしは論争が嫌いだと言おうとしたのではない。わたしが嫌いなのは、実験やデータと切り離された論争である。言語論争は、実装例の作成を伴わない、ありとあらゆるごまかしに陥りやすい。ksl.dev.java.netの狙いは、論争のための科学的根拠を提供することにある。優れたアイデアかどうかあまり深刻に考えずに、あらゆるものを提供してもらい、人々にそれを試してもらおうという取り組みだ。こういった経験の中から、どの機能を標準に取り込むべきかという選択が見えてくるだろう」
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