Sun、「Rock」を2008年にリリース

Sunは最高で16個のコアを搭載する「Rock」プロセッサを、2008年後半までに提供する計画だ。

» 2007年01月19日 15時39分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 対称型マルチプロセッシング(SMP)サーバシステムのマイルストーンとして、米Sun Microsystemsは最新のマルチコアSPARCモデル「Rock」を2008年にリリースする準備を進めている。

 実際のリリースの具体的な日にちはまだ決まっていないが、Sunの国際マーケティングディレクター、ファディ・アズハリ氏は、同社は2008年後半までにRockのミッドレンジおよびハイエンドシステムへの搭載を開始する計画だとしている。

 同氏はRockの構成について詳細を明かそうとはしなかったが、同プロセッサが1個当たり最高で16個のコアを搭載することは明らかにした。UltraSPARC T1(コードネーム:Niagara)は1個のプロセッサに8個のコアを搭載する。Sunは新しいマルチスレッドプロセッサの構成を完成させる作業を進めており、年内に追加仕様をリリースすると同氏は付け加えた。

 「SMPシステムに関して、われわれはこれを重要なマイルストーンだと考えている」(同氏)

 Rockがリリースされたら、Sunは同製品を、通信、金融、政府関連などの垂直市場で大規模データベースに対応するハイエンドプロセッサとして販売するだろう。

 「このプロセッサが提供開始されたら、特に大規模データベースアプリケーション、Oracleデータベース、ミッションクリティカルシステムなど、ミットレンジおよび大型SMPシステムがターゲットになると見ている」(アズハリ氏)

 Rockのリリース予定に加え、Sunは1月18日に、メモリを64Gバイトに倍増し、1.4GHzのUltraSPARC T1を搭載した新しい「Sun Fire T2000」を提供すると発表した。

 これらの新しい構成は、1.2GHzのプロセッサを搭載した旧世代のT2000サーバと比べてスループットが30%高い。またパフォーマンスは2倍、ワット当たりパフォーマンスは5倍、Sunのデータセンター効率基準SWAP(space, watts and performance)は9倍になる。

 さらに、SunはNiagara IIに組み込まれる、スループットを高めるための新しいネットワーキング技術(コードネーム:Neptune)も投入する。

 このマルチポート10Gイーサネットネットワークインタフェースデバイスは、ネットワークカードやシステムで使われると、10Gバイトのスループットを実現するとSunの担当者は言う。

 NeptuneをSPARCあるいはx64ベースのマルチスレッド・マルチコアサーバで使用すると、Sunの現行製品の4倍のスループットを提供するという。

 過去数カ月の間、Sunは大手ITベンダーコミュニティーにおける地位を改善するために着実な取り組みをしてきた。IDCとGartnerによる2006年第3四半期のサーバ販売調査では、Sunは上位5社に入っていた。

 IDCの調査では、SunはDellとタイで3位に入り、金額ベースで10%のシェアを握っていた。Gartnerの調査では、Sunは4位で金額ベースの市場シェアは約11%、2005年と比べるとおよそ25%伸びた。

 Sunは今週一連の発表を行った際に、T1000とT2000サーバは昨年の発売以来、四半期ごとに1億ドルの売り上げを生んでいると述べた。

 同社に大きな試練が訪れるのは、四半期決算を報告する1月23日だ。Merrill Lynchのアナリスト、リチャード・ファーマー氏は投資家向け報告書で、Sunは好調なサーバ売り上げで12月を締めくくったと記している。

 これは、Sunの売上高が、ファーマー氏の当初予測である35億ドルを超えるということかもしれない。同氏によると、CIO(情報統括責任者)を対象とした調査では、Niagaraラインへの関心の高まりが示されたという。ただし同氏は、一部投資家は依然としてSunの長期的な業績に懐疑的だと指摘している。

 ゲイコミュニティー向けサイトを手掛けるメディア・エンターテインメント企業Planetout.comの上級技術ディレクター、トム・シグナレラ氏は過去7カ月以内に、UltraSPARC T1 Niagaraを搭載した新しいSun Fire T1000サーバを古いSunサーバと入れ換える作業を開始した。

 これらサーバをSunの仮想化技術「Solaris Container」と組み合わせることで、同氏は250台のサーバを20台のシステムに入れ換えることができた。新しいサーバで消費電力を40%削減したとも同氏は言う。

 「われわれが走らせていたサーバとアプリケーションはものすごい数に上っていた。多額の電気代を払って、大量の電力を消費していた。スペースはそれほど問題なかったが、われわれは社内のシステムを整理統合した」(同氏)

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