MS、「Open XML Translator」をリリース――プロジェクトは第2フェーズへ(1/2 ページ)

米Microsoftはオープン標準/仕様に対する取り組みが不十分だという批判を受けているが、同社とそのパートナーは「Open XML Translator」の開発作業を完了した。

» 2007年02月05日 17時27分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 「Open XML Translator」のオープンソーストランスレータはMicrosoft Wordのアドオンとなるものであり、2月2日から無償でダウンロード利用ができるようになった。

 Microsoftは2006年7月、Translatorプロジェクトを立ち上げたことをSourceForge上で明らかにした。Open Document Format(ODF)と同社のOpen XML ファイルフォーマット間での変換を可能にする一連のツールを開発するのがプロジェクトの目的であり、そのソースコードはBSDライセンスの下で提供する予定だとしていた。

 さらにMicrosoftは2月2日、このプロジェクトの第2フェーズを発表した。この段階では、表計算ソフトのMicrosoft Office ExcelおよびプレゼンテーションソフトのMicrosoft Office PowerPoint用のトランスレータの開発が行われる。

 こういった動きの一方で、Microsoftは現在、競合企業各社およびODF Allianceから批判を受けている。ODF Allianceは、ベンダー、学術団体、技術関連団体などで構成されるODF推進グループ。

 ODF Allianceの業務執行ディレクター、マリーノ・マーシッチ氏が以前、米eWEEKに語ったところによると、Translatorは「ごく小さな最初の一歩」に過ぎないという。「このプロジェクトで開発されるインストール型ソフトウェアプラグインは、その場しのぎの間に合わせ的な対策であり、長期的に世界各国の政府に受け入れられないだろう。プラグインでは、オープンなファイルフォーマット、オープンな標準のメリットを提供することはできない」と同氏は指摘する。

 またMicrosoftは、競合企業各社の主張をめぐって調査も受けている。EU(欧州連合)が約3年前に違法だと見なした慣行を続けており、Open XMLファイルフォーマットはMicrosoft Officeプラットフォーム上でのみシームレスに動作するようになっている、というのが競合各社の主張だ。

 Microsoftで相互運用性XMLアーキテクチャを担当するゼネラルマネジャー、ジーン・パオリ氏はeWEEKの取材に対して、OfficeユーザーはTranslatorをダウンロード、インストールすることにより、ODFファイルをオープン/保存できるようになったと答えている。

 「われわれはExcelとPowerPointでも同じことをするつもりだ。Translator技術は非常に優れているため、Novellも同社版のOpenOfficeで採用する予定だ。結局のところ、2つのオフィススイート間の互換性とはそういうものだ」とパオリ氏は話す。

 Microsoftで企業標準を担当するディレクター、ジェイソン・マテュソー氏がeWEEKに語ったところによると、Translatorの設計目標の1つは、それをMicrosoftの技術から独立したものにすることだという。そうすれば、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)各社がそれぞれの顧客向けソリューションにTranslatorを含めることができるからだ。

 「市場は相互運用性と選択肢を求めており、Translatorの目的もそこにある。当社は具体的な行動を取るよう求められてきた。こういった要求を受け、われわれは継続的な取り組みに着手した」とマテュソー氏は話す。

 同社の取り組みを評価する声もある。イタリアのシステムインテグレーター、Teorema Engineering Groupのミッシェル・バルビ社長は、「Translatorプロジェクトは、ユーザーが求めてきたサポートを提供しようというものだ。当社のような企業にとっては、この技術を利用することにより、グローバルに事業を展開している顧客の相互運用性要求を満たすソリューションを容易に統合することができる」と話す。

 パオリ氏によると、TranslatorはOffice 2007、Office XP、Office 2003をサポートし、以前のOfficeバージョンはMicrosoftのアドオンによって既にサポート済みだ。これらのアドオンは、Open XML Formatを読み書きする機能を提供する。また、古いドキュメントを一括してアップデートするためのツールも存在するという。

 古いドキュメントの中にはOpen XML Formatで保存できないものもあるのかとの質問に対して、パオリ氏は「自分の知る限りでは存在しない」と答えている。また、TranslatorをMicrosoft Wordにプラグインすると、ネイティブのOpen XMLファイルフォーマットではなくODFでドキュメントをオープン/保存する選択肢がユーザーに与えられるという。

 Translatorは英語版に加え、フランス語、オランダ語、ドイツ語、ポーランド語の各ローカライズ版が用意されている。パオリ氏によると、ODFをデフォルトフォーマットとする競合ワープロ製品にTranslatorをプラグインすることもでき、これによりOpen XMLフォーマットでドキュメントをオープン/保存できるようになるという。

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