MS、「Open XML Translator」をリリース――プロジェクトは第2フェーズへ(2/2 ページ)

» 2007年02月05日 17時27分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
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 パオリ氏によると、Translatorプロジェクトは、SourceForge上で最も活発な30件のプロジェクトの1つであり、これまでに5万回以上のダウンロードがあったという。同氏は、オープンソースコミュニティーのメンバーによって書かれたコードがあるかどうかは把握していないとしながらも、多くのコミュニティーメンバーから技術的な提案やバグの報告を受けていると話す。

 「Translatorのリリースは、相互運用性に対する当社のコミット姿勢を示すものだ。このプロジェクトはオープンな環境の中で実施され、アップデートされたコードが定期的にリリースされたため、誰でも参加してコミットすることができた。Translatorのβ版も昨年夏に、読み込み用と書き出し用ともにSourceForge上で公開された」とパオリ氏は話す。

 Translatorを利用した環境はユーザーにとってどの程度シームレスなのかとの質問に対し、パオリ氏は「何と言っても、2つのフォーマットは非常に異なっている。両者のデザインは大きく違っており、機能レベルも異なる。もちろん、一方のフォーマットが他方よりも適しているシナリオもある」と答えている。

 例えば、ユーザーが豊富な機能を備えていないODFフォーマットでドキュメントを作成した後で、それをOfficeでオープンしても「ほとんど問題はなく」、ODFでサポートされている機能の範囲内であれば、そのドキュメントをOfficeで変更することもできるという。しかし、Wordの複雑な機能を使用すれば「もちろん忠実に再現することはできない」と同氏は話す。

 しかしプロジェクトがオープンであることは、開発者がODFで何が欠落しているかを把握し、その問題を改善できることを意味する、とパオリ氏は話し、ODFは現在も標準化が進められているという。

 一方、マテュソー氏は、ODFフォーマットの再現性の面で改善すべき部分について、Translatorが貴重な情報をODF陣営に提供するものとMicrosoftでは期待していると話す。Translatorが両フォーマットの欠点や違いを浮き彫りにするからだ。

 同氏によると、標準化をめぐる問題も大きな議論の的になっており、Ecma Internationalは昨年12月にEcma 376を投票で承認し、Open XMLを業界標準として採用した。Open XMLは現在、ISO(国際標準化機構)で承認に向けて検討中だという。

 またマテュソー氏は、Ecmaで同標準の承認に反対票を投じたIBMをやり玉に挙げ、同社はオープンソースコミュニティーのイノベーションを促進するという約束に反する行動を取り続けていると批判している。

 「しかしわれわれが今、架け橋を築く手段を提供し始めたという状況の中、製品競争が表面化するのは明らかであり、Microsoftの製品がWorkplaceをはじめとするODFベースの製品と競争することになるだろう。しかすわれわれは今後も、架け橋を築く手段を追求し、競合企業と協力してこれらの問題の解決策を見つけるつもりだ」とマテュソー氏は話す。

 「Microsoftが採用しているフォーマットを標準化するよう求めてきた多くの企業の1社がIBMであったことを考えれば、当社の路線はまさに、彼らが求めてきたものである。つまり、当社のフォーマットを標準化団体に提出し、それを標準として承認してもらうことである。しかしこれは明らかに、IBMが提供している製品をめぐる彼らの現在の商業的目標だけでなく、サービス分野における彼らの目標にも合致しない。サービス分野では、環境が簡素化するよりも複雑化した方が、彼らにとって有利になるのだ」(同氏)

 Translatorプロジェクトの第2フェーズでは、ExcelとPowerPoint用のトランスレータの開発が行われ、ここでもやはり3社のパートナーとの共同作業となる。ITソリューションプロバイダーのClever Ageはコードの作成を担当し、ISVのAztecsoftはコードのテストを担当する。もう1社のISVであるDialogikaは、欧州各国の政府機関内部で使用されている専用のタブレットPCを使ってコードのテストを行う。

 パオリ氏によると、2月からスタートする第2フェーズでも同じオープンモデルとライセンス方式が採用され、SourceForge上でコードが公開されるという。ユーザーによる技術プレビューは5月からSourceForge上で公開され、最終版は11月にリリースされる予定。

 「ドキュメントトランスレータの開発を通じて学んだことや、このソフトウェアの一部を大いに活用するつもりだ。第2フェーズが完了すれば、この規格の3つのコンポーネントであるドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションがカバーされることになる」(パオリ氏)

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