“コミュニケーションネック社員”の存在をチェックする失敗プロジェクトが常態化する開発現場(後編)(2/2 ページ)

» 2007年02月15日 07時00分 公開
[瀬良征志(ブーズ・アレン・ハミルトン シニア・アソシエイト),アイティセレクト編集部]
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コミュニケーションネック社員は致命傷

 情報連携において、最も大きな問題点は、重要な情報の流れを阻害する“コミュニケーションネック社員”の存在である。彼らは、次のような行動様式を持つ。

“コミュニケーションネック社員”のチェックリスト

 特に1年を超えるようなプロジェクトにおいては、彼らの存在は致命傷となる。しかも、この手の社員はタフなことが多く、現実に被害を受けるのは周辺の社員であり、結果として貴重な人材が戦線離脱する危険性すらある。

 コミュニケーションネック社員に対しては、早期に指導を試みて、見込がなければ「代わりはいない」と諦めずに、早急に交代要員育成に着手すべきである。

中長期での人材育成がカギに

 これらの活動は一見地味ではあるが、地道に続けていくことで、失敗プロジェクトになるリスクを大きく削減することができる。一度でも似たような経験をした方なら、うなずいていただけるはずだ。しかし、現実には、当たり前のことを着実に実施することは思った以上に大変である。新たなプロジェクトは類似経験の少ないフレッシュな顔ぶれで始まり、これらの地味な活動の重要性が理解されなかったりする。

 企業変革プロジェクトは、企業が存続する限り発生するものである。今後の失敗プロジェクトを減らしていくために、リーダーとスタッフの人材育成に関しても、時間をかけて中長期的に取り組んでいくべきである。

 ITベンダー側の力量向上については言うまでもない。現実に大活躍している少数の優秀なSEと同レベルの人材を増やすことも大事だが、「顧客リレーションシップを円滑にするどころか逆にいたずらに客を怒らせるプロジェクトマネジャー」や「要求仕様を整理するどころか逆に複雑化させるSE」といった問題社員に対する、問題解決スキル、コミュニケーション(書く・話す)能力、および、プロフェッショナル意識の底上げが急務だろう。

(「月刊アイティセレクト」2007年3月号のトレンドフォーカス「失敗プロジェクトが常態化する開発現場 現実的な処方箋はどこに?」より)

瀬良 征志

ブーズ・アレン・ハミルトン シニアアソシエイト。ITプラクティスコアメンバー。情報通信、SI、建設、教育、人材サービス、警備サービス、音楽ビジネス、自動車、エネルギー、金融、広告等多様な業界におけるプロジェクト経験を持つ。企業変革実現に向けてのプロジェクト推進活動に軸足を置いた活動をしている。東京大学経済学部卒。


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