AV仕様の超高速PLCが登場 その意外な使い道「エンタープライズPLC」のススメ(1/2 ページ)

PLCの業界推進団体には、HPA、UPA、CEPCAの3大グループがあるが、国内でもいよいよHPA陣営のHomePlug AV方式の単機能型PLCモデムが登場する。だがそれは、ホームユースではない新たな用途を提案するものだった。

» 2007年02月16日 08時00分 公開
[井上猛雄,ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「エンタープライズPLCのススメ」でご覧になれます。




 オンライン・ムックで以前レポートした記事では、PLCを推進する業界団体として、HPA、UPA、CEPCAという3つ大きなグループがあると述べた。それぞれの団体は、設立された背景や目的が違うため、そのコンセプトや具体的な仕様も異なる。

企業向け? HomePlug AV方式の高速PLC

 HPAは、インテル、モトローラ、シスコシステムズ、シャープ、ソニーなど71社が加盟している最も大きな業界団体だ。チップ仕様を「HomePlug」として共同で策定し、相互接続性を検証している。HPA仕様のPLCモデムは、宅内向けの用途に強みを持っている。2001年にHomePlug 1.0(最大14Mbps)を公開し、インテロン、イトラン・コミュニケーションズ、スビットコムなど、多数のチップが認定されている。同陣営は、2005年に高速PLC分野でもAV用途の「HomePlug AV」仕様(最大200Mbps)を公開しており、インテロンがAV準拠チップ「INT6000」の供給を開始している。主に音楽や映像コンテンツを伝送する家電への組み込み用途として、各社が同方式に準拠した製品を開発中だ。

 一方、UPAはスペインのDS2製チップを採用することが前提となっており、主にアクセス系やビル内などの大規模な展開に適している。国内では、住友電工やNECがDS2製チップ搭載のPLCモデムをエンタープライズ向けに提供している。またCEPCAでは、特にチップを限定していないため、自社開発チップを提供するメーカーも数多く参加。DS2製チップとの共存を目的にしているが、その仕様はまだ策定中だ。同陣営で中心的な存在を果たす松下電器は専用チップを開発、国内のコンシューマー用途として他社に先駆けて、HD-PLC方式のPLCモデムを発売している。

 このように国内では、コンシューマー向けには松下電器製のチップ、エンタープライズ向けにはDS2製のチップを採用した製品が先行しているが、ここに来て単機能型の高速PLC製品にも新たな動きがあるようだ。国内で初めて、HPA陣営のHomePlug AV方式に準拠するPLCモデムが登場したからだ。

 HomePlugというと、コンシューマー用途のイメージが強い。実際に過去の展示会では、PLCをハイビジョンホームネットワークに応用する例などがデモで紹介されていた。住友電工もHPAのPLCモデムを採用しているが、コンシューマー向けのものである。しかし、先ごろ開催された企業向けIT総合イベント「NET&COM2007」で登場した製品は、こうしたホームユースではなく、エンタープライズ向けを意識したものだ。

画像 ザイセルのPLCモデム「PLA-400」(写真右)。国内で初となるHomePlug AV方式に準拠した単機能型の高速PLCモデム。通信速度は200Mbps(実効速度約70Mbps)、伝送距離は最大300m。同一機器を64台まで拡張できる。法人向けとして提案していくという
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