書類の海に溺れる組織――分厚い会議資料が示す注意信号企業にはびこる間違いだらけのIT経営:第24回(1/2 ページ)

会議の度に分厚い資料が配られ、ほとんど目を通さないままファイリングされる。ペーパーレス社会といわれて久しいが、まだまだこうした組織は多い。紙の無駄も見逃せないが、それらの資料作りに費やされるエネルギーはいかばかりか。

» 2007年03月06日 09時00分 公開
[増岡直二郎,アイティセレクト編集部]

 書類、書類、書類…。とにかく書類が多い。多くの企業の中で、書類作成の担当者はじめ、関係者が泣かされている。関係者は愚痴をこぼしながら、すぐファイルの中で眠ってしまうであろう書類を黙々と作り続ける。どうにかならないのか、と考える人は多いはずだ。その実態を把握し、悪弊を暴き、原因と対策を検討するために、まず膨大な書類作成に悩む現場の実態を見ながら考えていこう。大量の書類を作るケースはいろいろあろうが、ここでは組織的に作るケース、トップの指示でやむを得ず作るケース、そして担当者が進んで作るケースがある。

減らしても減らしても書類は増え続ける

 大手電子機器メーカーA社の予算会議に出席する機会があった。指定の控え席に座ろうとして、机上を見て驚いた。厚さ5、6センチの分厚い書類が、ドカッと置かれている。見渡すと出席者50名ほどの机上すべてに置かれている。壮観である。5事業部・2研究所・3工場・8営業拠点・8関連会社・7海外拠点のうち代表2拠点の予算資料が、各4ページ前後ずつA3サイズ用紙で作成されて三つ折で綴じられているから、100ページ以上が数センチほどの厚さになっている。

 中味は、例えば同じテーマについて事業部・研究所・工場が触れているので、随所に重複がある。要するに無駄が多い。会長、社長は分厚い予算資料を満足げにめくっている。どれほど無駄な経費が発生していることか。予算事務局の取締役経理部長に一言忠告したら、いわく「これでも、減らした結果なんです」。出席者たちは、会議が終わるとその後ほとんど開けないファイルに書類を綴じ込むのだろう。書類の間から、まるで書類作成者の嘆きの声が漏れてくるようだった。

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