「苦悩するCIO」の姿が浮き彫りに――ガートナー調査

2007年、CIOは経営幹部の期待と事業運営の戦略のはざまで頭を悩めることになりそうだ。ガートナーが発表した「EXP CIOサーベイ」では、2007年の傾向を「苦悩するCIO」と予測している。

» 2007年03月15日 21時17分 公開
[ITmedia]

 「苦悩するCIO」――ガートナー ジャパンが3月15日に発表した「EXP CIOサーベイ」によると、短期的な成長を目指す経営幹部と迅速に事業運営の戦略を実行しなければならないCIO(最高情報責任者)との間でアンバランスが生じているとして、2007年の傾向をこう予測している。

 それによると、ビジネス面では、成長を加速させるための項目が上位にランキングされている一方で、実際のCIOの戦略では事業運営のための項目がベスト3を独占。この乖離(かいり)が、経営幹部とCIOとの間に対立を生じさせる可能性を高くするという。

2007年におけるビジネス面の優先度 2007年におけるビジネス面の優先度(出典:ガートナー)
2007年における戦略面の優先度 2007年における戦略面の優先度(出典:ガートナー)

 特に日本の傾向としては「要員の確保・育成・保持」が第1位なっており、グローバルの第4位に比べて格段に高くなっているのが特徴。団塊の世代が定年を迎える2007年問題が背景にあるほか、大手金融機関で一過性の大規模プロジェクトに要員が流れていることが原因と分析している。

 また、第3位には日本版SOX法などの外部規制の影響で「ITガバナンスの改善」が入り、グローバルでは第8位と順位に大きく差が付いていた。

2007年におけるテクノロジ面の優先度 2007年におけるテクノロジ面の優先度(出典:ガートナー)

 テクノロジーの面では、日本では2006年に引き続き「セキュリティ技術」が第1位だった。その一方で、グローバルでの優先順位は2006年の第2位から第6位に低下。海外に比べて個人情報の漏えいがあった場合の企業イメージ低下が激しく、対策の優先順位を上げる結果になったとしている。

 グローバルでは2006年、2007年ともにテクノロジー面での最優先課題の第1位だった「ビジネス・インテリジェンス(BI)アプリケーション」が第3位から第9位に低下しており、海外とは異なった動きを示しているのも特徴という。

 EXP CIOサーベイは、ガートナーの「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」のメンバーを中心に企業のCIO3500人を対象に次年度の課題を尋ねた調査。2006年10〜12月に調査を行い、30カ国以上1400人以上から回答を得た。

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