Oracle GRID Center――インフラ検証からソリューションの提案へオラクルデータベースの新潮流(2/2 ページ)

» 2007年03月20日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]
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いよいよソリューション開発に着手

 Oracle GRID Centerでは2006年11月に活動を開始してから、Oracle Database、Oracle Real Application Clusters(RAC)とOracle Fusion Middlewareとの連携によるプラットフォーム基盤の検証、Oracle Enterprise Managerによる統合運用管理の検証など、主にハードウェアベンダーが用意したサーバやストレージなどのさまざまな組み合わせによるGRID共通インフラの検証作業が進められてきた。また、オラクルと各ハードウェアベンダーがテーマを決めた個別の検証も実施。例えば、日本IBMや富士通とはLinuxの拡張性について、日本HPや日立とは仮想化技術についての検証が行われた。これが、Oracle GRID Centerにおけるフェーズ1の取り組みである。

 これらの検証結果を受けて、2007年春からは次世代ソリューションの実現を目標に掲げたフェーズ2へと移行した。共通インフラによるシステムとしては、それこそ多種多様なソリューションが考えられるが、すでにいくつかのテーマが検証済みソリューションとして用意されつつある。

 まず挙げられるのは、「高可用性ソリューション」である。オラクルでは、一般にビジネス継続マネジメント(BCM=Business Continuity Management)、またはビジネス継続計画(BCP=Business Continuity Plan)などと呼ばれるソリューションを「Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)」という名称のベストプラクティスとしてまとめようとしている。MAAは、障害時にビジネスプロセスを即座に復旧させることを目的とし、データの損失防止、システム停止時間の最小化を実現するものだ。具体的には、データベースはRAC、アプリケーションはロードバランサなどで冗長化しながら、稼働系サイトと類似した待機系サイトを構築するアーキテクチャになる。

 また、「ウェアハウス・グリッド」というソリューションがある。これは、従来は負荷が最大となるピーク時に合わせて構築されてきたETLシステムやデータ・ウェアハウスシステムをグリッド環境にし、異なるピーク時によって使用するリソースを割り当て負荷分散するというものだ。

 このほかにも、仮想化ソリューションをはじめ、統合ID管理ソリューション、情報ライフサイクル管理(ILM)による業務処理統制ソリューションなどの確立が進められている。

 これらの検証済みソリューションが確立されれば、事前検証期間やシステム構築期間を短縮し、運用管理コストを削減した“ベンダーお墨付き”のシステムが構築することが可能になる。こうしたシステムを導入することにより、トータルのITコストが削減できるだけでなく、積極的な将来への投資も行えるようになるだろう。

 すでに、次世代システムの構築に着手した企業であっても遅くはない。Oracle GRID Centerの今後の成果に注目したい。

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