Linux Foundationにモバイルと組み込みの風

OSDLとFree Standards Groupが合併し、2007年1月に発足したLinux Foundation。さらにMarvell、Nokia、VirtualLogixの3社が新たな会員として正式に迎えられた。

» 2007年04月06日 16時13分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 今回発表された新規加入によって、Linux Foundationの現会員数は約86となる。

 同団体は、開発コミュニティやIT業界に有益なサービスを提供し、Linuxプラットフォームの普及促進および標準化の継続を図ることを目的としているものだ。

 Linux Foundationの最高責任者を務めるジム・ゼムリン氏は、3社の新規会員には、混在環境におけるLinuxの問題点と可能性に対する同団体の理解を深める役割を果たしてもらいたいと話し、これによってほかの会員の活動も活発化するだろうと述べた。

 Linux Foundationの創立は、OSDL(Open Source Development Labs)が複数の開発スタッフを解雇し、団体の活動方針を変えていくと発表した、わずか6週間後に明らかにされたものだ。

 これと同時にOSDLの最高責任者であったスチュアート・コーエン氏は職を辞し、代わりに前最高財務責任者のマイク・テンプル氏が新たな最高執行責任者に就任した。

 ゼムリン氏は、コーエン氏の辞任はLinux Foundationの設立とは「いっさい関係がない」と述べ、「当面の間」テンプル氏は役員として団体の運営に携わるが、同氏のOSDL責任者の立場はあくまでも暫定的なものであると説明した。

 新規会員となったMarvellは、モバイルLinuxおよび組み込みLinuxの標準化や、広範なデバイスにこのような標準搭載をすることに主眼を置いている。

 Nokiaは、特定のベンダーに依存しない環境で利用できる、同社の「Internet Tablet」などのLinuxベース技術の開発に取り組む予定だ。またVirtualLogixは、リアルタイムでの仮想化に関する同社の専門知識を提供し、デバイス製造企業がLinuxの同機能を携帯端末やネットワークインフラストラクチャアプリケーションに統合できるようにしていくという。

 「今年6月に開催されるLinux Foundation初の全体会議をはじめ、今後のわれわれの活動を通して、新会員と力を合わせていけることを楽しみにしている」(ゼムリン氏)

 Marvellの副社長兼ゼネラルマネージャー、パラメッシュ・ゴピ氏は、同社の半導体ソリューション顧客は以前からLinuxに強い関心を抱いていたと語った。

 「Linux Foundationに参加し、同団体の統合的なリソースやサービス、標準を活用できるようになったことで、こうした顧客の要望を十分に満たし、組み込みLinuxの普及を実現させられると期待している」(ゴピ氏)

 一方、Nokiaのオープンソースソフトウェア事業責任者であるアリ・ジャクシー氏は、Linuxの統括を単独の企業に任せないことが肝心だと指摘する。

 「Linux FoundationがLinuxの保全という使命を果たせば、中立的な環境を維持することができる。さらに、同団体がコラボレーションの要として機能することで、業界をリードする企業が、デスクトップアーキテクチャやモバイルLinuxといった重要な分野で協働する機会が生まれる」(ジャクシー氏)

 VirtualLogixは、Linux Foundationの仮想化ワークグループと協力して、埋め込みデバイスに低コストでLinuxを導入していく取り組みをさらに進めたいと述べた。

 「製造企業が仮想化技術を採用すれば、製品の原材料の数を減らし、1台のハードウェア上で複数のオペレーティングシステムを稼働させ、ひいては生産性を向上させることができる」と、VirtualLogixの企業戦略担当取締役副社長であるマイケル・ギーン氏は話している。

 しかしながら、同団体の最近の動きには批判の声も上がっている。特に、多数の国際的なフォーチュン500企業が新役員メンバーに指名されたのに対して、純粋なコミュニティベースのLinux組織が1つも選ばれなかったことには、賛否両論が巻き起こっている。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ