「ブログで情報共有」って…使える?社内にも押し寄せるWeb2.0の波(2/2 ページ)

» 2007年04月12日 07時00分 公開
[アイティセレクト編集部]
前のページへ 1|2       

 2003年1月、オリジナルの画像配信システム「P-CATS」を稼動させることになる。新製品の写真などをアップできるサイトだ。更新情報は、週2回のメールで通知。海外拠点は必要に応じてダウンロードするだけとなった。「『棚』を作ったので、そこを見て、という感じ。これで、依頼のメールは減るに違いないと思った」(久保田氏)。

 そのシステムは好評だったが、カタログデータやロゴ、雑誌広告のテンプレートなども扱えるようにすると、システムとしてうまく連携しない部分が生じ、過去の資料を検索するといった場合に使いづらいものになった。「あまり整理されていない棚だった」と、久保田氏は振り返る。

 3年ほどして海外製の写真配信システムの導入を検討することになったが、コスト面で折り合いがつかず、採用を断念。同時に、「求めているシステムはブログやRSSの仕組みを使えばできるのではないか」ということに気付いたという。久保田氏自身、実は草創期からブログに関心を抱き、RSSの登場に感銘を受けていた。ただ、それまで「仕事に使えるとは考えもしなかった」という。

 こうして2006年春ごろからブログでシステムの構築を試みることに。さまざまな試行錯誤の結果、12月に稼動にこぎつけた。

 新システム「P-CATSPLUS」は、ブログっぽくないインタフェースを持つ。過去30日間にアップした製品写真などを並べた画面が更新されるもので、海外拠点の担当者は、必要に応じてそこからダウンロードできるようになっている。2000年からの製品写真だけで約3000エントリーある。

「P-CATSPLUS」の中で、過去30日分の製品画像が並んでいる「PROMO MATERIALS」の画面。下部には、過去30日間にアクセスの多かった製品ベスト5が示されている。右から2つ目のタブ「COMMUNITY」をクリックすると、イントラブログの画面に移る。

 「ブログっぽくない」とはいえ、コメント欄が設けられ、修正情報やリクエストなどがやり取りできるようになっている点は「ブログらしさ」。さらに、イントラブログで社内コミュニケーションを図れるように配慮した「場」も新設した。業務連絡書などをPDF化して投稿し、社員の間で共有するのにも使える。更新状況をRSSで配信し、通知メールをやめたのも「2.0的」だ。

社内のCGMを拾う

 グループウェアの場合、掲示板に書き込める人が通常決まっていたり、書くことに規定があったり承認が必要になることが多い。だが、「ブログであれば社長でもアルバイトでも発信できるため、『社内で埋もれている人』が表現できるようになる」と中光氏は指摘する。こうした、普段はしゃべらないがキーボードだと「じょう舌」になる、「おしゃべりキーボード」(おしゃキー)という存在の能力が発揮されるのが、社内ブログの効果の一つだという。そんな「スター選手」を発掘する、つまり「会社の中のCGM」を収集する手段になるというのだ。

 「グループウェアがトップダウンの手段とすれば、社内ブログはボトムアップのための場を提供するツール」と、中光氏。それは、「社員が見えなくなる」なるような中堅・大企業であるほど有効だという。

 とはいえ、目的もなく導入するだけでは、社内ブログも使われないまま無駄なシステムとして残りかねない。デノンのように、意外な活用方法もある。目的があって使う分には、かなり有効活用できるツールということだろう(「月刊アイティセレクト」4月号のトレンドフォーカス「社内にも押し寄せるWeb2.0の波 活用事例に見る情報共有の最新の姿」を再編集した)。

※本稿の内容は特に断りのない限り2007年2月現在のもの。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ