「ブログで情報共有」って…使える?社内にも押し寄せるWeb2.0の波(1/2 ページ)

最近、「社内ブログ」という言葉をよく耳にするようになった。「Web2.0」の代表的な技術といってもいいブログは、すでに広く浸透している。それが今、企業内の情報共有という場に触手を伸ばしつつある。

» 2007年04月12日 07時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

 「社内ブログ」と呼ばれるカテゴリでは、さまざまなベンダーがこぞって商品化を進めている。2006年9月にはネオジャパンが「デスクネッツ・ブログ」の販売を始めた。10月にはサイボウズが「サイボウズブログ」のβ版を一般公開して社内ブログ市場に本格参入。11月になると、技術系ベンチャーのスカイアークシステムが、「スカイアーク・エンタープライズ・イントラブログ」を発売した。2007年2月には、富士通ビジネスシステムが「ブログ集約型情報共有ソリューション」の提供を開始している。

 とはいえ昨今、「社内の情報共有=グループウェア」というのがスタンダードになっている側面もある。果たして、社内ブログはどこに活路を見出しているのだろうか。

常駐先情報を発信

 サイボウズは、自社内でもブログを活用している。

 「グループウェアは業務の結果報告など通達すべきものに、ブログではそれまでのプロセスを書くなどもう少し軽い部分で語り合うのに利用している」(開発本部プロダクト管理部プロダクトマネージャーの中光章氏)

 カスタマー本部営業部第四営業グループの牧田恵里氏の場合、販売パートナーのオフィスに常駐しているためサイボウズ社内にほとんどいない。しかしながら業務上、社内の各部署と連絡を取り合うことが非常に多い。そこで、「会社とのつながり」にブログを使っている。

 「なかなか社内の人と話すことができなくなったので、常駐先でやっていることを毎日ブログに書き、社内調整をやりやすくしている」(牧田氏)

 書いている内容には、常駐先の社員の人柄や社風、出来事などもある。「(サイボウズ)社内の人に、パートナーのことを分かってもらうため」(牧田氏)だ。こうしてサイボウズでは、「正規の報告書」ではなかなかできない、社内全体と取引先との関係をより良くしようという試みが行われている。

海外への画像配信で

 高級オーディオメーカー、ディーアンドエムホールディングスのデノン ブランドカンパニーは、ちょっと変わった用途で社内ブログを活用している。

 デノンでは、新製品の資料を日本から北米や欧州の海外拠点に配布する。かつては、製品写真(ポジフィルム)を複製してクーリエで送っていた。一度に数十枚を用意して海外に配布する費用は、ざっと数十万円。しかも、届くまでに数日かかった。

 日本でその作業を担当してきた、プロダクト&マーケティング本部の久保田一弘氏は、その非効率な作業に「嫌な思い」をしていた。

 その後、写真自体がデジタル化され、複製コストを抑えることはできたが、CDで送ったため配送費/時間は変わらずじまい。しかも、海外拠点からメールで寄せられるリクエストに対応して、積み重なったCDから過去の製品の資料を探し出すのは一日かかることもあった。久保田氏は「そんな無駄なことを繰り返しながら、何かいい方法があるに違いない」と思っていた。

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