「ダメ上司」は真実を映し出す鏡企業にはびこる間違いだらけのIT経営:第27回(1/2 ページ)

4月も後半、新しい上司とのつきあいもそろそろワンクール目が終了といったところだろうか。周囲のうわさなどに惑わされず、自分の目でしっかりと上司の人柄を見極めたいところ。「ダメ上司」をキーワードに人間観察のポイントを探る。

» 2007年04月24日 08時08分 公開
[増岡直二郎,アイティセレクト編集部]

ダメ上司の例外事項

 ダメ上司は、どこの世界にもいるものである。ここで取り上げるダメ上司とは、部下から見てダメな上司で、部下を平気でスポイルし、そのため部下から嫌われる上司を指す。

 ダメ上司の問題とは、日常業務、ひいてはIT導入・経営方針遂行の中で障害になっているのに、企業は彼らを任用し続けているということだ。その結果ダメ上司は部下にとって迷惑なだけでなく、企業にとってもマイナス要因として働く。

 ただし、「できる上司」を「お荷物の部下」がダメだと思ったからといって、「ダメ上司」の対象にはならない。自分の至らなさには寛大で、上司の前ではおとなしくしておいて、本人のいないところで悪口三昧、すべてはあの上司のせいだなどと放言してはばからないタイプの部下、この場合は、「ダメ部下」になる。ただし、同じ「ダメ」でも「ダメ部下」の場合は上司の権限で何とか打つ手はあるが、「ダメ上司」の場合は部下から打つ手は限られる。

 だから、問題視される。部下から見て一見「ダメ上司」でも、会社にとって「良い上司」の場合がある。もし本当の意味でそうであるなら、その場合部下は押しなべて心底では評価しているもので、「ダメ上司」に当てはまらない。1人や2人の「ダメ部下」があれこれ言おうと、良い部分、悪い部分を冷静に見ている人間の判断がそれらを打ち消すものだ。

責任回避が巧みな「自己保身型」

 ダメ上司は、筆者の経験や識者の意見からいくつかのタイプに分けられる。ダメで嫌な上司は、性格が悪いか仕事ができないかだ。そこから主に「自己保身型」、「ヒラメ型」、「ゴーイングマイウエイ型」、そして「昼行灯型」、「重箱の隅型」に分類される。いずれも特徴が重複する部分はあるが、身近に思い当たる上司は少なくないだろう。

 それぞれのタイプについて実例で分析し、ITに対する影響も考慮しながら対応を考えよう。

 「自己保身型」は、自分の身の安全確保がすべての価値判断基準となる。部下の成果は自分の成果、一方で責任回避も巧みだ。A情報機器メーカーのB営業部長は、顧客情報が重要であればあるほど自分で抱え込んで、決して公開したり共有に供したりしなかった。A社は自社開発でCRMを導入していたが、ほとんど機能していなかった。その大きな原因の1つが、重要情報を個人が抱え込んで共有されなかったことで、Bはその典型だった。このタイプは、自分の存在価値を高めるのが目的で情報を占有するから、何を言っても自分の考えを修正せず、死守する。A社のCIOは思案の末BをCRM活性化の責任者に任命し、その成果もBの評価項目に入れた。一転、Bは個人情報占有の風土を持つ社内の改革に、本気で取り組み始めた。

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