迫り来る“ハードウェア仮想化”の波(2/2 ページ)

» 2007年04月25日 17時48分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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仮想化への移行で学んだ教訓

 「なるべく早急に既存のIT環境を最適化したいと考えていた。可用性を高め、ディザスタリカバリへの備えを万全にする必要があったので、『SUSE Linux 9』の稼働する『IBM System z9』を含む仮想化ソリューションを採用した」と、ウーケナー氏は話している。

 Nationwideは最初の3年間で1500万ドルのコスト削減を見込んでいたが、「すでに期待以上の成果が上がっている」(ウーケナー氏)という。具体的には、毎月のWebホスティング費用の50%、データセンターの床面積の80%、ハードウェアおよびOSのサポート作業の50%、平均CPU消費量の70%を削減でき、ミドルウェアや「WebSphere」「UDB」「Oracle」などにかかるコストも大幅に下がったそうだ。

 「サーバプロビジョニングのスピードが著しく向上し、コンピュータ処理能力の動的配分も可能になった。もちろん、シンプルかつ堅牢な高可用環境とディザスタリカバリ機能も手に入れることができた」(ウーケナー氏)

 ウーケナー氏はハードウェア仮想化への移行を検討している組織に対し、Nationwideが学んだ教訓として、明確な目標と方向性を持つこと、さらには経営陣からのサポートを取り付けることが重要だとアドバイスしている。

 「コスト効果を最大限に引き出すためには、TCOを徹底的に計算しておくことも必要である。大規模な実装を行うなら、ボーナスを支給するなどしてアプリケーションチームのやる気を刺激し、作業手順や必要な技術をしっかりと準備しなければならない」(ウーケナー氏)

 スキルは分散環境で用いていたものをそのまま流用できるが、課金モデルは、定額費用とリソース消費量に応じて決まる費用を含むことができるよう刷新する。さらにウーケナー氏は、「アプリケーションチームが気持ちを切り替える際に感じるストレスを軽く見てはいけない」とも警告している。

 Continental Resourcesの一部門であるEntericoの販売担当副社長、ケン・サイモン氏によれば、同社は相当数の古いアプリケーションをLinuxへ移行し、同プラットフォーム用に新たなアプリケーションを開発したという。

 「われわれは仮想化を、リソースを最適化し、レガシーアプリケーションを効果的かつ効率的に更新する手段としてとらえている。Linuxは信頼性および将来性に富むプラットフォームであるとともに、レガシーアプリケーションの移行と新たなアプリケーションの開発を促してくれる存在でもある」(サイモン氏)

 一方、Sybaseのマイケル・ケイン氏は、同社はウォール街にミッションクリティカルなデータベース技術を提供することで成長を果たしたと話す。ウォール街における商取引はコンピュータを介して行われており、その取引数は過去3年間で最大3000%も増加した。

 Sybaseは、生産性の向上とリスクの軽減を目的としたリスク分析プラットフォームも開発している。

 「データを仮想化すれば、そうした情報を統合し、データの断片化や情報の遅れを防ぐことができる。超高速のレポート機能および情報分析機能を備え、高度に最適化された分析サーバである『Sybase IQ』こそが、データ仮想化を実現するのだ」(ケイン氏)

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