コラム
» 2007年05月03日 04時44分 公開

フリーランサーにとってのブログとは――オルタナブロガー栗原潔氏 (1/2)

「痛感することは、フリーランサーにとってブログとはきわめて強力なツールであるということ」(栗原潔氏)

[栗原潔,ITmedia]

フリーランサーに不可欠なブログという媒体

 私事ではあるが、2005年6月にITコンサルタント/アナリスト兼弁理士として独立してからオルタナティブ・ブログで「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」として書き続けている(正確に言えば、それ以前に企業に属していた時点から書いてはいたのだが)。そして、今、痛感することは、フリーランサーにとってブログとはきわめて強力なツールであるということだ。

 フリーランサーの仕事を続けていく上での最大の課題の一つは営業力だ。個人ベースでできる営業的なリーチは限られているが、ブログはそれを飛躍的に拡大してくれる。例えば、今までまったく付き合いがなかった企業から、ブログを読んだということで引き合いが来たり、初対面の人であってもブログを読んでいるとのひと言で、その後の仕事の話がはずんだりすることもある。つまり、従来であれば、営業担当者がコンタクトを取り、何度かミーティングをして信頼関係を築くという、ハイタッチではあるが時間を要するプロセスがブログにより一気に省略されるわけだ。

 パートナーシップの上でもブログは重要だ。フリーランサーとして個人ベースで仕事を取っていても、当然ながらすべての案件を自分1人でできるわけではない。事業主として社員を増やしていくアプローチもあり得るが、適切なスキルを持つ社員の雇用は難しい。それよりも、案件に応じてスペシャリストのチームを動的に組んで対応した方が望ましいことが多い。

 ここで、ほかのフリーランサーにチームに参画してもらう場合も、その人のブログを見れば普段何を考えていて、どのような分析力を有しているかは容易に把握できる。ブログは、数回の面接程度では分からないその人の真の実力を明らかにしてくれる。つまり、ブログは自分の真の実力を世の中に知ってもらうためにも、そして、他者の真の実力を自分が知るためにもきわめて有用なツールということだ。

米国のアナリスト・ブログ事情

 米国においては、多くのITコンサルタント/アナリストが実名ブログで情報発信をしている。中には、こんなに充実した情報を無料で公開してしまって大丈夫なのかというケースもあるくらいだ(たとえば、Dion Hinchcliffe’s Web 2.0 blog(関連リンク)。しかし、彼らにとっては、情報公開によるリスクよりも出さないリスクの方が大きいということなのだろう。有用な情報や分析をブログで示すことで得られるプロモーション効果は何にも代え難いということだろう。

 また、IT企業を中心として企業に属しながら実名でブログを書くケースも増えている。そもそも、企業側が機密保持義務などの一定のポリシーに従うことを前提で従業員に実名ブログを書くことを奨励しているケースも多い。最も顕著な例は、米Sun MicrosystemsのCEOであるジョナサン・シュワルツ氏のブログだろう。大手企業のCEOという職にありながら、定期的に自分の言葉でブログを書き、さらにコメントまで受け付けているのは驚くべきことだ。明らかなコメント・スパムは排除するが、基本的にはコメントは検閲していないそうだ。「ジョナサン、君は何も分かってないね」というような辛辣なコメントまでもがそのまま残されているのは何ともすごいことである。

 残念ながらまだ日本では米国のレベルには達していないようだ。フリーランス系のITプロフェッショナルのブログは質的にはすばらしいものがあるが、数的にはまだまだといったところだろう。また、企業に属しながらブログを書く人はどうしても匿名にせざるを得ないという事情もあるようだ。

 才能あるフリーランサーや企業人が実名ブログで情報発信を行い、率直で建設的な意見交換を行なうとともに、必要に応じてプロジェクトを組み顧客のニーズに対応するという、いわば仮想コンサルティング企業的なやり方が将来的にもう少し一般化することを期待したい。

ブログを書くときの心がけ

 次に、私がブログを書く際に心がけている点を幾つか挙げておきたい。特別なものではなく、ある程度の読者を抱えているブロガーであれば誰でも行なっていることだろう。

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