フリーランサーにとってのブログとは――オルタナブロガー栗原潔氏(2/2 ページ)

» 2007年05月03日 04時44分 公開
[栗原潔,ITmedia]
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  • 定期的に書く:

 定期的に書いていくことこそがブログに読者をひきつけ、効果的に活用する上での最大のポイントであり、同時に書き手にとっては課題となる部分である。実際、ブログを書き始めたはよいが途中で燃料切れというパターンは結構多いであろう。私の場合は、よほど忙しい場合は除き、少なくとも3日に1記事のペースで書くことを心がけている(正直、結構しんどいのだが)。旬の時事ネタがある時はそれについて書き、あまり賞味期限が関係ない題材は、良い時事ネタがない時用に温存しておくことが多い(新聞の連載4コマ漫画もこういうやり方だそうである)。

  • プロとしての題材の選択:

 まったくの趣味で書いているのであれば、単に日々の出来事を書きつらねていけばよいのだが、自分のプロモーションとしてのブログであれば、プロフェッショナルとしての質を維持しておきたい。私の場合、専門分野に全然関係ない趣味的なお話しは別にブログを立てて(半匿名で)書いており、ITmediaのブログには基本的に仕事系の話しか書かないようにしている。

 そうとはいえ、毎日のように論文のようなエントリーを書いていくことは体力的にも厳しいし、読み手にもコメントを遠慮させるような堅苦しい雰囲気を与えてしまうことにもなりかねない。そのようなことから、仕事系のブログにもたまには軽めの話題で書くことはある。私の場合、軽い話題の時には、2ちゃんねるのスレ式に【雑談】、【感想】等をタイトルの頭に付けることが多い。カテゴリーで分類するやり方もあると思うが、多くのブログ読者はエントリーを時系列的に読んでおり、カテゴリーはあまり気にしていないのではないかと思う。

  • 内容の確信度:

 ブログは論文や寄稿記事よりも気軽に書ける媒体だ。誤りがあっても後で修正することもできる(明らかな誤記でもない限り、読者に黙って修正するのは避けるべきと思うが)。ここで、気をつけるべき点は、自分で確信が持てない部分については、語尾のニュアンスに気をつけるという点だ。要するに、よく分かってないことを断定的に書く癖は避けるべきということだ。確信が持てない時は、いっそのこと「確信が持てないので、詳しい方はコメント(メール)下さい」と書いてしまってもよいかと思う。このような双方向性とカジュアルなコミュニケーションこそがブログの価値だと思うからだ。

  • 仕事上の守秘義務について:

 コンサルティング系の仕事をしている人はコンサルティング案件のことはブログに書くべきではないと思う。コンサルティングの内容については守秘義務の維持が前提だからだ。個人的にはどの会社と仕事をしているとか、どの人と会ったというレベルの内容でもアウトではないかと思う。

 難しいのは、コンサルティングの案件で今調査していることが、たまたま世の中でも話題になっているようなケースだ。さすがにこのような場合はその話題に触れないわけにはいかないだろう。いずれにせよ、コンサルティングの顧客の信用を失うような行為は避けるべきということである。

  • 「炎上」への対応:

 いわゆる「炎上」への対応は難しい課題だ。炎上を防ぐ最大のポイントは、読者がカチンと来るような書き方を避けるということだろう。これは別に特別な話ではない。日常会話であっても同じことを言うのに、人に怒らせる言い方とそうでない言い方があるのと同じことだ。炎上の対応には、コメントは消さない、自分に事実誤認があった場合には直ちに謝るなど、いろいろな対応方法があると思う。荒らし的なコメントにムキになって対応せず場合によってはスルーすることも重要だだろう。いわゆる、「スルー力(りょく)」のお話しである。

 フリーランサーに限らず、知的ワーカーにとってのブログというメディアの強力さについては改めていうまでもないことだ。しかし、まだ日本のIT業界はブログのパワーを100パーセント活かせているとはいえないだろう。将来的には、フリーランサーだけではなく、一般企業に属する人も(できれば実名で)ブログでの情報発信・意見交換を積極的に行い、日本のIT業界の集合知のIQを上げていけるようになることを願っている。

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