東大を中心とした研究チーム、インターネット最速記録更新でIPv6の実用性を提示

東京大学を中心とした研究チームが、10Gビットネットワークを利用したIPv6のインターネット最速記録を更新した。

» 2007年05月09日 06時30分 公開
[ITmedia]

 東京大学情報理工学系研究科の平木敬教授らを中心とした国際共同開発研究チームは、5月8日に10Gビットネットワークを使ったIPv6のインターネット最高速度を更新したと発表した。4月24日に米Internet2が記録を認定した。2006年2月に同研究チームが達成したIPv4の最高速度を上回り、IPv4と同等の性能と実用性が実証された。

平木敬教授

 今回の記録更新は、東京大学が開発したレイヤー間協調最適化技術、およびゼロコピーTCP技術を複合することによる高速化で可能となった。これにより、2006年12月31日に、同研究チームが保持していたインターネット記録速度を30.4%更新する、IPv6の9.08Gbpsのデータ通信速度を実現させた。データ通信は、東京から米国シアトル、シカゴ、オランダのアムステルダムを経て、その逆をたどり、東京へ戻る経路で計測された。

 記録達成に使用されたマシンは「普通のPCサーバ」(平木氏)だという。特殊な機器を使うわけではないため、今回記録を実現した技術は広く利用できる。10GビットのTCP技術により、容量4.7GバイトのDVD1枚を4秒で転送、非圧縮HDTVの6ストリーム伝送などが可能となる。

実験に利用したサーバの内部

 記録更新により、日本の高速インターネット技術であるIPv6が性能面において最高レベルということが示された。また今回の取り組みによって、将来の超高速インターネット利用に対する道を開き、日本と世界の学術ネットワーク間の密な結合が具体的な結果で提示された。

 この技術を駆使することで、研究チームでは高エネルギー物理、天文学、環境科学、バイオサイエンスなどの地球規模での科学技術研究データの共有ができ、研究者が真に求める情報システムの基盤が作られるとしている。

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