過去最大のバージョンアップを果たした組み込みRDBMSのSQL Anywhere 10

アイエニウェア・ソリューションズはRDBMSの最新版「SQL Anywhere 10」を発表した。パフォーマンス向上とモバイル対応が強化された。

» 2007年05月10日 21時17分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 アイエニウェア・ソリューションズは5月10日、組み込み向けのRDBMSパッケージの最新版「SQL Anywhere 10」を発表した。データベース(DB)システムのパフォーマンス向上やモバイル連携機能などが強化されている。

 SQL Anywhere 10は、バージョンアップとライセンス体系の変更に伴い、従来の「SQL Anywhere Studio」から名称が変更されたもの。企業のDBシステムをさまざまなクライアント環境で活用するパッケージ構成となった。

SQL Anywhere 10の概要

 システムパフォーマンスの向上策として、SQL Anywhere 10では「マテリアライズド・ビュー」「スナップショット・アイソレーション」「パラレル・クエリバックアップ」機能を搭載する。マテリアライズド・ビューは、ビュー(データの閲覧処理)専用のデータをDB内に格納するもの。データテーブル全体の参照する通常のビューとは異なり、ビュー専用データ参照するため、複雑な処理を行ってもパフォーマンス低下を防止できる。

 スナップショット・アイソレーションは、一貫性を維持したビュー処理を行う機能で、複数ユーザーが処理を実行してもシステムのパフォーマンスを維持するという。パラレル・クエリバックアップは、同時に複数のバックアップを実行処理し、バックアップの時間を大幅に短縮できる。同社の計測では、3倍以上のパフォーマンス向上が見られたという。

 DB利用の安全性と効率性を高めるため、DBミラーリングに新たに対応したほか、データの暗号化機能も強化された。従来の暗号化はDB全体を対象に行われていたが、SQL Anywhere 10ではテーブル単位でも暗号化できるようになった。

モバイル環境での業務利用例

 SQL Anywhereシリーズの特色となるモバイル連携では、ウィザード式でDBシステムとモバイルデバイスとの同期環境を開発するための「Mobile Link」が実装された。分散化されたDB環境でも適切な同期処理を行う機能などを容易に開発できるという。また、外勤社員の業務効率化を支援することを目的にWeb経由でモバイルから利用するサービスの開発環境も用意されている。

セキュリティ対策からモバイルでの業務では利用の多いWebサービスにも対応する

 このほか、解析/デバッグツール群の拡充やMicrosoft Visual Studio 2003/2005との連携強化、配布インストーラ作成ツールを新たに搭載しており、アプリケーション開発者の負荷を軽減する機能を持つ。

 SQL Anywhere 10の基本構成は、1つのサーバライセンスと5つのクライアントライセンスからなり、クライアントライセンスではPCのほかにPDAやスマートフォンなどのハンドヘルドデバイスの利用も認められている。価格は13万8000円(税別)で、5月末から出荷を開始する。ミラーリングやMobile Link機能を利用するには、オプションライセンスの購入が必要となる。

 早川典之代表取締役社長は、「久しぶりのバージョンアップとなるが、初期設定時からの高いパフォーマンスやデータ保護、双方向データ同期など、ライセンス体系も含めてユーザーニーズに応えた。更新内容は過去最大の規模だろう」と話している。

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