Novell、Microsoftとの特許契約を明らかに(1/2 ページ)

物議を醸しているNovellとMicrosoftの契約が公開された。これはMicrosoftがGPL 3を攻撃し、フリー・オープンソースソフトが同社特許を侵害していると主張する理由を物語っているかもしれない。

» 2007年05月28日 15時06分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 米Novellは5月25日、提出が遅れていた年次報告書を米証券取引所(SEC)に提出した。それには、2006年11月にMicrosoftと交わした技術協力および特許に関する契約書が添付されている。

 この2006年10月31日締め会計年度の10-K報告書は、ストックオプションに関する調査のために提出が遅れた。この調査が最近決着を見たことで、Novellは年次報告書を提出できるようになった。10-K全体はここで見られる。

 144ページにおよぶ10-Kには、Microsoftとの契約の詳細は含まれていないが、Microsoftとの完全な契約書――多少編集されているが――3通が添付されている。修正済みの第2技術協力合意書、修正済みの第1事業協力合意書特許協力合意書の3通だ。

 パメラ・ジョーンズ氏のGrowlawサイトによると、この10-Kの中で最も注目すべき部分は、GNU GPL 3ライセンスの最終版に第3ドラフト版の文言が盛り込まれることになったら、MicrosoftはSUSE Linuxのクーポン配布をやめざるを得ないかもしれないと、説明している個所だという。

 Novellの提出書類には次のように記されている。「GPL 3の最終版に、当社とMicrosoftの合意を妨げる、ないしは当社がGPL 3コードを配布するのを妨げる条項あるいは条件が含まれる場合、Microsoftは特許契約が拡大解釈されてGPL 3ソフトウェアの受け取り手の範ちゅうに含まれることを避けるために、SUSE Linuxクーポンの配布を中止する可能性があり、当社は現行の合意よりも不利な条件の下でMicrosoftとの合意を修正しなければならないかもしれない。あるいは、当社はGPL 3コードを自社製品に取り込むことに関して制約を受けるかもしれない。これらいずれの事態が生じても、当社の事業およびその業績に悪影響を与える可能性がある」

 「そのような場合、当社は紛争解決のための代替手段を模索するだろうが、それが成功する保証はない」

 このことは、Microsoftがこの数週間GPL 3を攻撃し、フリー・オープンソースソフトが同社特許235件を侵害していると主張し、GPL 3に怒りを向けている理由を物語っているのかもしれない。

 Novellは初め、23日のOpen Source Business Conferenceのパネルディスカッションで、契約書を公開する計画を明らかにした。このパネルディスカッションではNovellのMicrosoftとの契約はオープンソースのメリットになるのかどうかが論じられた。

 このように契約書を公開するのは異例ではないかとのeWEEKの質問に対し、Novellの広報担当ブルース・ロウリー氏は、これらの契約が重要となる――MicrosoftよりもむしろNovellにとって――場合に、財務報告書に含めるのは標準的な慣行だと答えた。

 「もっと早くに公開できたはずだが、ストックオプションの調査があり、また定期報告書を提出していなかった。Microsoftはこのことを認識している。契約書には機密事項があり、SECのルールではそうした事項を編集することが認められている。このような状況では標準的な慣行だ」(ロウリー氏)

 ほかにも企業が契約書の企業秘密や機密を要する営業・財務情報(特定の製品や共同プロジェクトに触れた機密情報など)を編集することが認められている。だが同氏は「契約書の文言は、編集されてはいるが、両社の間で進んでいる作業に関する重要な追加情報を提供するものと確信している」と話している。

 Microsoftは契約書の公開について心配していないようだ。同社の知財・ライセンス担当副社長ホレーショ・グティエレス氏は、両社の契約は「われわれの顧客のために相互運用性と知的財産の問題に対処することが目的で、オープンソースとプロプライエタリなソフトの間に歴史的な橋渡しをする」と表している。

 両社の契約はLinuxとWindowsの間の相互運用性を大きく向上させ、顧客のIT環境の柔軟性を高めるとグティエレス氏は語り、特許協力合意は顧客の心の平穏と、特許問題に関する知的財産の保証を与えると述べた。

 「顧客から、混在環境での相互運用性と知的財産のニーズに応えるこの種のソリューションを求められていた。相互の顧客の利益のためにこの契約に至ることができてうれしく思う。今後もこの領域で橋渡しとなる取り組みを続ける」(同氏)

 戦没者追悼記念日(5月28日)の連休前という10-K提出のタイミングについて聞いたところ、ロウリー氏は、意図的なものではなく、「偶然だ。ストックオプションの調査を23日に終え、その後できるだけ早く財務報告書を提出しなければならなかった。30日に決算発表もあり、そのこともできるだけ早く報告書を提出する圧力になった」と答えた。

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