「危険はWebサイトから」、トレンドマイクロが企業向け対策ソフトの新版

トレンドマイクロは、オプションとしてレピュテーション機能などを追加した企業クライアント向けセキュリティ対策ソフトの新バージョンを発表した

» 2007年06月04日 15時58分 公開
[ITmedia]

 トレンドマイクロは6月4日、企業のクライアント向けセキュリティ対策ソフトの新バージョン「ウイルスバスター コーポレートエディション 8.0」を発表した。Webを介して侵入を試みる脅威への対策を強化したほか、プラグイン式のアーキテクチャを採用している点が特徴だ。

 ウイルスバスター コーポレートエディションは、Webベースのコンソールによる一元管理が可能な企業向けのウイルス対策ソフトで、ウイルスやワーム、スパイウェアなどの検出/駆除が可能だ。アドバンス版ではさらに、パーソナルファイアウォール機能やWinny対策機能が付属している。

 新バージョンでは、悪意あるWebサイトを介して広まる「Webからの脅威」が増加していることを踏まえ、有償オプションとして「Webセキュリティサービス(WSS)」を追加できるようにした。

 「以前は電子メールの添付ファイルを介して来ることが多かったが、最近はHTTP、つまり80番ポートを通じて直接落ちてくるマルウェアが増えている」と同社のプロダクトマーケティングマネジャー、小林伸二氏は指摘した。それも、1つのプログラムで完結するのではなく、複数の小さなプログラムを組み合わせた形で動作するよう変化している点が特徴だ。最初に落としてきた「ダウンローダ」を介して、さまざまなサイトからさまざまなプログラムを追加ダウンロードするほか、自分自身のアップデートまで行うという。

トレンドマイクロのプロダクトマーケティングマネジャー、小林伸二氏

 この結果、「ユーザーがその存在に気付きにくくなっている」(小林氏)。加えて、亜種が次々に登場しているため、「パターンファイルをアップデートしても、後手に回った更新では間に合わない」(同氏)

 WSSはこうした問題の打開策として提供される。いわゆるレピュテーションサービスの1つで、ドメイン名が登録されてからの期間や安定性、ほかのドメインとの関係や不正ファイル配布の有無など、複数の要素を元にドメイン名を評価し、スコアに応じてアクセス時にブロックを行う。WSSのデータベースは30分おきに更新されるという。

Webセキュリティサービスの設定画面
当該ドメインのスコアが閾値に満たないと、アクセスがブロックされこのような画面が表示される

 ウイルスパターンファイルの更新とは異なり、クライアントが直接、トレンドマイクロが用意するデータベースサーバにアクセスする仕組みだ。ただ、管理サーバ側でホワイトリストの設定が可能なほか、各PCにローカルキャッシュを保存することで、応答の高速化を図っているという。

 WSSでは、ウイルス検索エンジンそのものも強化された。自分自身の存在を隠すルートキットを検出する「ルートキット検出モジュール(Rootkit Common Modude:RCM)」搭載したほか、圧縮形式を検知し、ウイルス亜種を効率的に検出する「IntelliTrap」を実装している。

 またバージョン8.0では、メジャーバージョンアップのタイミングを待たず、必要に応じて機能を追加できるプラグイン対応フレームワークをサポートした。「クライアント向けのセキュリティ対策製品としては初」(小林氏)という。

 トレンドマイクロではその第一弾として、2007年後半に、HDDのスナップショットを取得し、必要に応じてバックアップを行えるプラグインを提供する計画だ。ほかにも、セキュリティ関連で複数のプラグイン提供を検討している。同社の技術だけでなく、サードパーティ製のプラグインも提供される可能性があるという。

 ウイルスバスター コーポレートエディション 8.0の価格は、5ライセンスで3万6000円から、アドバンス版は同じく5ライセンスで4万9000円から。WSSは5ライセンスで1万6000円となっている。いずれも6月28日より販売を開始する。

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