MS、Silverlightを推進(1/2 ページ)

Microsoftはリッチなインターネットアプリケーションを開発するための、クロスプラットフォーム対応ツールのβ版をリリースする。

» 2007年06月06日 06時58分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 「Silverlight」――それはインターネットアプリケーション開発の小さな一歩だが、デザイン/クリエイティブプロフェッショナル市場への進出を目指すMicrosoftにとっては大きな飛躍であるようだ。

 MicrosoftでWPF(Windows Presentation Foundation)とSilverlightを担当する製品ユニットマネジャーのアイアン・エリソンテイラー氏によると、これまでWindows PCだけにフォーカスしてきた姿勢を改め、各種のデバイスやほかのプラットフォーム上でリッチでグラフィカルなユーザーエクスペリエンスを実現するクロスプラットフォーム/クロスブラウザ対応ツールを開発するという同社の軌道修正は、人類を月に送り込むのにも似た取り組みだったという。

 「ほんの数年前まで、これは不可能なタスクのように思われた」とエリソンテイラー氏は語る。

 「WPFやSilverlightのようなものを実現するのに必要なすべての部品を確保するのは無理だ、という批判を社内外から聞かされ続けてきた。だがわれわれは成功を信じ、何とかやり遂げた。WPFの開発には6年間という歳月を費やし、その後間もなくしてそのSilverlight部分を完成させた。これはまさしくマラソンのように感じられ、ある意味では人類を月に送り込むのにも匹敵するようなタスクに思えた」(同氏)

 事実、Silverlightプロジェクトが開始したのは、MicrosoftがWPFの開発計画を発表した2001年のことだった。WPFはWPF/Eの前身となる技術である(WPF/EはSilverlightのコードネームだった)。

 コロラド州ボルダーにあるElectric Rainのマイク・スーシーCEOは、「Microsoftは巨大空母のような企業だが、必要なときには方向転換することができる」と話す。

 カリフォルニア州パロアルトに本社を置くFrog Designのデザイナー、リー・ブライムロー氏は、「Microsoftがデザイナーに触手を伸ばすというのは、ちょっと不似合いな感じがする。しかし彼らはきっと何か強力なツールを出してくると思う」と話している。

 Frog Designでエグゼクティブクリエイティブディレクターを務めるマーク・リガメリ氏は、「彼らはAdobeと真っ向から対決しようとしているが、この戦いの主役になるのは面白いと思う」と付け加える。

 エリソンテイラー氏によると、同氏の開発チームは、このプラットフォームの開発に適した人材がそろっているだけでなく、プラットフォームの次の段階に必要なツールについて相談するのに適した人がいると感じていたという。「しかしデザイナー面の事柄に関しては手助けが必要だった」と同氏。

 開発チームはMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOとの会合を求め、「そこで、われわれがやろうとしていることを説明するとともに、デザイナーにフォーカスした新タイプのツールが必要であり、これは当社が以前にやったものとは同じではないことを熱心にアピールした。われわれは『どこかの企業を買収するか、もしくは自社で開発する必要がある』と言った」とエリソンテイラー氏は語る。

 同チームは、デザイナーツールを開発する必要性およびデザイナーにアプローチする必要性について述べた40ページの理由書を作成した。「スティーブは1枚目のスライドを見て言った。『よく分かった。それで、これをどういうふうに進めるつもりなのかね?』と」(同氏)

 こうして、Avalon、デザイナーツールのMicrosoft Expressionシリーズ、そしてその後にSilverlightを開発するという取り組みが開始した。

 Avalonは当初の計画よりも少し時間がかかったが、2005年初頭から半ばのあたりで、「AvalonとWPFの開発は十分軌道に乗ったと判断したため、WPFのクロスプラットフォーム/デバイスサポートについて真剣に考えられるようになった」とエリソンテイラー氏は話す。

 「この取り組みは少数のスタッフでスタートし、そこから拡大していった。Vistaと.NET 3.0が出荷されると、一部のリソースが解放されたため、われわれは真剣に取り組み始めた」(同氏)

       1|2 次のページへ

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ