ITこそHPの宝だ――マーク・ハードCEO

ハードウェアベンダーのイメージが強いHPだが、今やソフトやサービスも包括的に提供する。ITそのもがHPの資産だと、ハードCEOは力説した。

» 2007年06月21日 06時19分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 ラスベガス発――Hewlett-Packardの社長兼最高経営責任者(CEO)であるマーク・ハード氏が、こと技術に関するかぎり、同社は最良のITインフラストラクチャを構築するための最高の手本となっていると豪語している。

 6月18日に現地で開催された「HP Technology Forum & Expo」で講演を行ったハード氏は、HPの顧客やパートナーを前に、研究開発を進め、独自技術を活用して同社のデータセンターを変革させた経験を語った。

 ハードウェア、ソフトウェア、サービスを一連の包括的なソリューションとして組み合わせ、インフラストラクチャからマネジメント、ビジネスインテリジェンスまで、広範な問題を解決していくという同社の戦略を聞きに集まった聴衆は、およそ7000人におよんだ。ハード氏は彼らに対し、「HPにとってITは財産と同じだ」と述べている。

 ハード氏によれば、HPはデータセンターの電力および冷却コストを半減させようとしているのだという。これは、HPが本社を置いているカリフォルニア州パロアルトに電力を行き渡らせるコストに相当するそうだ。

 HPは2006年5月、世界各地にあるデータセンターを米国内の6センターに統合すると発表した。同社の関係者は、こうした取り組みによって、今後数年間で10億ドルにおよぶITコスト削減が可能になり、同社のインフラストラクチャ機能の適応性をアピールすることもできると話していた。

 「環境だけでなく、効率性を考慮した取り組みだ。環境を保護すると同時に、顧客にメリットを与えるものである。さらに、メンテナンスの対極にあるイノベーションに大きな予算を割り振れるようにもなる」(ハード氏)

 HPでは、同社の「BladeSystem c-Class」ブレードサーバや、Intelの「Itanium」プロセッサを搭載したハイエンドシステム「Integrity」ラインといったハードウェアの改良を含む、データセンターインフラストラクチャの大規模な仮想化も進められている。これに加え、「OpenView」エンタープライズ管理ソフトウェアポートフォリオなどの独自の管理ソフトウェアを使用して、すべてのハードウェアとミッションクリティカルなアプリケーションを融合させようとしている。

 HP自身のインフラストラクチャにおけるこうした改革が完了したあかつきには、IT業務予算の約80%をイノベーションや新技術および手法の開発に充て、残りの20%で機器のメンテナンスを行えばよいようにしたいと、ハード氏は展望を述べた。

 ハード氏はHPのインフラストラクチャを管理する際の難点として、同社の規模の巨大さと、ここ数年の間にMercury InteractiveやKnightsbridge Solutionsなどのソフトウェアを取得したことで増した複雑性を挙げた。HPは主にハードウェアを製造する会社としてビジネスを始めたが、今日では、ソフトウェア、サービス、ITコンサルティングも会社の中心業務になっている。

 アナリストらはHPの2007年度収入は1000億ドルを上回ると見ているが、そうなれば、すでに込み入った状況に拍車がかかることになると、ハード氏は話した。

 同氏は、HPの成功の鍵は、ハードウェア、ソフトウェア、サービスという自社のインフラストラクチャをより多くの利用者向けに改良したところにあり、これは他社も模倣できるモデルだと説明している。HP Labsデータセンターでの「Dynamic Smart Cooling」の利用は、同社がこれまでに実施した取り組みの中でも最もわかりやすい例の1つだろう。

 「HPのみならず、ほかの企業でも取り入れられる戦略だ。これらの技術を市場に提供して、顧客の利益を図っていきたいと思っている」(ハード氏)

 技術面においては、現時点でIT業界の進歩を引っ張っているコンシューマテクノロジーとエンタープライズテクノロジーの溝を埋める役割を果たしていると、ハード氏はHPについて語った。その証拠に、HP製サーバの全コンポーネントの70%近くが、同社のPCに搭載されているものと完全に同一かもしくは派生品であるという。

 ハード氏は、HPはコンシューマ技術およびエンタープライズ技術の両方を生かすことのできる「唯一のIT企業」だと、胸を張った。

 最後に同氏は、規模の大小にかかわらず、あらゆる企業にともに働きやすい相手だと思ってもらえるよう、HPは努力していると述べた。ハード氏は現職に就いた2005年以来、パートナーとの提携がそうした戦略の要になると主張してきた。

 「HPの規模と同様に大きな複雑性に正面から取り組み、これを解消する手段を他社に提供していきたい」(ハード氏)

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