要求仕様書をどう書く? JUASがガイドラインを発表

JUASは、要求仕様書の書き方をまとめた「要求仕様定義ガイドライン」を発表した。要求仕様書を適切に作成できれば、システム開発の納期遅れや品質向上を期待できるのだが。

» 2007年07月05日 19時14分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 システム開発での納期遅れ、予算超過、品質不満の要因は、要求仕様書にかかわる問題点にあると指摘されている。しかし、どのように記述すれば良いのだろうか? 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は7月5日、要求仕様書に何を書くかではなく、どのように書くかに注目した「要求仕様定義ガイドライン」(UVC)を発表した。

 JUASが行った「ソフトウェアメトリックス調査」によると、ユーザー企業がシステム開発の反省点として上位に挙げるのが要件定義フェーズに起因する問題。仕様定義が不十分のまま発注したり、仕様条件を明確に提示しなかったなど、ユーザー企業自らも問題を意識している。要求仕様書を適切に作成できれば、システム開発の納期遅れや品質向上を期待できるのだが。

細川泰秀氏 JUAS専務理事の細川泰秀氏

 JUASが発表したUVCでは、清水吉男氏が提案するUSDM(Universal Specification Description Manner)表記法を本体部分の書き方として採用したのが特徴。この表記法では、要求を2段階で記述。そして下位要求の下に仕様を記述する。こうすることで、仕様漏れを防ぎ、要求との整合性がとれる。また要求には「なぜその要求をするのか」という理由も明記することで、仕様レベルでの理解度を高められるという。

 記述のツールには、スプレッドシートを利用する。ユーザーが書いた要求部分にSEが仕様を追加していくという方法がとりやすく、変更管理もしやすいためだ。また、要求と仕様を記述した横にトレーサビリティ用の列を設けることで、設計書からのトレーサビリティも確保できる。

 品質やサービスレビルなどの非機能要求もUSDM表記法で定義する。これを明確にする定義することで、変化やリスクに対応できるシステムを構築できるという。

 JUASの調査では、工期遅延の理由のうち全体の34%が要件定義に問題があるという。ここ3年連続して続いている傾向だ。JUAS専務理事の細川泰秀氏は「ベンダーに文書の裏を読めというのはあまりにも酷だ。発注側が変わるのがシステム開発のトラブルを防ぐには一番早い」と話した。

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