「キーワードは“Better Than Red Hat”」――Asianux Server 3のみなぎる自信

「キーワードは“Better Than Red Hat”」――9月18日に出荷される「Asianux Server 3」によって、アジアでの確固たる地位を築きたい同社は、マーケティング面でもRed Hatを強く意識しているようだ。

» 2007年08月02日 16時23分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

「キーワードは“Better Than Red Hat”」――8月2日にミラクル・リナックスが開催した記者説明会において、同社取締役兼CTOの吉岡弘隆氏、カスタマーサービス本部本部長の児玉崇氏は、この言葉を繰り返し口にした。

児玉氏 「ベトナムでは10社近い企業とお会いした」と児玉氏

 同社と、中国Red Flag Software、韓国Haansoftの3社が共同で手掛けるLinuxディストリビューションの名称を、「Asianux」で統一すると先日発表されたが、そのブランドで提供される最初のディストリビューションが9月18日に出荷される「Asianux Server 3」(AXS3)となる。

 このAsianux Server 3における「Better Than Red Hat」の部分として「機能・品質・サポート・価格」の4つを挙げる吉岡氏。Linuxカーネル 2.6.18の採用による性能向上のほか、日本語文字サポートへの取り組みなどの説明が行われたが、もっとも時間を割いたのはライセンス体系と価格についてだった。

吉岡氏 「(カーネルハッカーが)日本の地におり、そこで問題を解決できるというメリットを生かす」と吉岡氏

 「Red Hatを意識したサポートレベル」と児玉氏が話すよう、AXS3では製品体系が従来と大きく変化した。基本的にはベーシックとスタンダードから選択し、より高度なサポートが必要であれば、ソースコード解析やカーネルダンプ解析を行う拡張サポート(プラチナサポートまたはプラチナサポート One)を購入するスタイルとなる。パッチのみが必要であれば、ベーシックサポートを毎年購入すればよい。

製品の標準構成 価格 詳細
ベーシックパック 3万1500円 使用するサーバのCPUソケット数は2つまで
1サーバで1インストールイメージのみ利用可能
TSN使用権:修正パッケージの提供(1年間)
バージョンアップ製品の無償提供
インストールメディアはダウンロードでの提供(CDメディアは別売り)
スタンダードパック 9万9540円 使用するサーバのCPUソケット数は無制限
1サーバで無制限のインストールイメージが利用可能
TSN使用権:修正パッケージの提供(1年間)
技術問い合わせサポート(1年間)
バージョンアップ製品の無償提供
CDメディア付き
ライセンス体系。このほかにプラチナサポートが存在する

 現バージョンの「MIRACLE LINUX V4.0 Asianux Inside」(ML V4)との比較で考えると、AXS3のベーシックは、ML V4でライセンスとアップデートサポートを購入したものに相当する。価格では、ベーシックが3万1500円で、ライセンスとアップデートサポートを合わせた価格が9万4000円であるため、初期費用は大きく下げることができる(2年目からは同様に)。同じくAXS3のスタンダード(9万9450円)はML V4のプロダクトサポート(15万7500円)に相当し、こちらも大きく価格を下げている。特に、スタンダードに相当するRed Hat製品では、Red Hatが2ソケットとそれ以上で価格を分けているが、AXS3では一律の価格となっており、明確な価格となっている。

 また、仮想化用途においても“Better Than Red Hat”を強調する。AXS3では、1台の物理ノードに対して必要なOSライセンスは1つ。その物理ノード内の仮想マシンには無制限にOSをインストールできる。しかし、サポートについては、1つのOSライセンスでサポートするのはあくまで1つのOS。仮想マシンを複数台稼働させ、それらすべてにサポートを求めるのであれば、別途サポートを購入することになる。

「Red HatのSLAを見ると、Xenのときはともかく、VMwareなどを利用した仮想化環境下において、結局サポートするのかしないのかよく分からない。うちはそうではない」(児玉氏)

 また、児玉氏はAsianuxコンソーシアムにベトナム科学技術省が協力したという発表についても触れ、アジアでのブランドを確立したいAsianuxと、違法コピー是正をはじめ、幾つかの観点からオープンソース振興を進めるアジア各国との思惑が一致した結果であると話す。無論、ベトナムはその先駆けで、今後も同コンソーシアムにアジア各国の参加が期待されると述べた。コンソーシアムに参加するベトナム企業は来月上旬にも発表される予定だが、「ミドルウェア層に強みを持つ企業」と児玉氏は明かしてくれた。

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