Intelは、2008年をWiMAX推進に向けた取り組みを本格化する年に設定したようだ。
カリフォルニア州サンタクララを本拠とするチップメーカーのIntelは、2社の通信事業者パートナー(SprintNextelとClearwire)と共同でWiMAXネットワーク/技術のコントロール実験を7〜9月期中に開始し、さらに今年末から来年にかけてフィールドテストを実施する計画だ。
IntelのWiMAXグループでワイヤレスコンテンツを担当するディレクター、ロン・ペック氏が米eWEEKに語ったところによると、9月に開催される同社のDeveloper Forumをはじめ今後さまざまなショウにおいて、WiMAX技術をモバイルデバイスやノートPCに組み込む取り組みについて詳しく説明する予定だという。
WiMAXはIEEE 802.16規格をベースとするブロードバンド技術で、ポイントツーポイントリンクを含むさまざまな手段による長距離データ通信を可能にする。Intelは数年前からWiMAXを積極的に推進しており、同社はこの技術に対する最大の投資企業でもある。
ペック氏によると、シリコンレベルでは、Intelは「Montevina」と呼ばれる同社の次期モバイルプラットフォームにWiMAXとWi-Fiのサポートを追加する計画だという。同プラットフォームは、同社での45ナノメートルプロセスへの移行の一環として来年に発表される予定だ。
ここ数カ月、Intelの幹部は、新しいモバイル市場での事業展開をさらに進め、WiMAXを現在のWi-Fi並みにポピュラーで普遍的な技術にしたいという意欲を口にしてきた。さらに同社は、WiMAXを第3世代のセルラーネットワークに代わる有望な技術として推進する計画だ。
ペック氏によると、2008年にWiMAXはまずノートPCおよびPCカードで利用できるようになる見込みだ。Intelは同年に自社のモバイルプラットフォームを刷新する予定。さらに2008年から2009年にかけて、ウルトラモバイルノートPCやMID(モバイルインターネットデバイス)などのモバイルデバイスにも同技術が普及すると同氏はみている。
「2008年にはWiMAXを搭載したモバイルデバイスが市場に登場するのは間違いないと思う」とペック氏は話す。また、同技術の価格も手ごろになると同氏は予測しているという。
ペック氏によると、市場という視点で見た場合、コンシューマーと小規模企業がWiMAX技術を最初に受け入れ、WiMAXデバイスおよび同技術がより厳格な検証と評価を経た段階で大手企業も採用するようになる見込みだという。
SprintとClearwireは7月、両社のWiMAX計画におけるネットワークの区割り策定に向けて新たな20年提携に合意した(関連記事参照)。ペック氏によると、Intelはこの提携を支持しており、両社のWiMAX計画の推進を後押しするつもりだという。
両社の合意によると、Sprintは約1億8500万人にWiMAXネットワークを提供する予定だ。これは50の主要市場に含まれる人口の約75%をカバーする。一方、Clearwireは約1億1500万人をカバーする地域にフォーカスする。
InStat Groupのリサーチディレクター、ジム・マグレガー氏によると、WiMAX技術の広範な普及は、通信業界の様相を一変させる可能性があるという。このブロードバンド技術では、データだけでなく音声の長距離通信も可能であるからだ。
「Intelは早い時期にWiMAXへの支持を打ち出すことにより、通信業界における同社の影響力を拡大するとともに、新興市場に進出するという野望の実現を狙っている。同社は既に、これらの新興市場でWiMAX技術のバリエーションを披露している」とマグレガー氏は話す。
Intelが2008年にWiMAXを本格的に推進する方針だというのは、マグレガー氏にとって驚くことではないようだ。
「Intelはこれまで、WiMAXのロードマップに関しては非常に現実的な姿勢を貫いてきた」とマグレガー氏は話す。「Intelは同技術をやや大げさに宣伝してきたきらいはあるが、ロードマップについてはいつも非常に控え目だ。時期的なことに関しても、彼らの計画は非常に一貫している。2009年から2010年にかけて大きな発展が見られそうだ」。
マクレガー氏も、コンシューマーが最初に市場をけん引するものとみているが、大企業もすぐにWiMAX技術の検討を開始する可能性が高いという。
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