Xmingは、X Window systemとMicrosoft Windowsを結ぶ、フリーで使いやすいポートである。言い換えれば、Windowsを使わざるを得ない人々に素晴らしいXサーバを提供してくれるすばらしいツールだ。
X Window systemの良い点は、リモートコンピュータで実行されているXアプリケーションをローカルコンピュータに表示する機能があることだ。Microsoft Windowsの良くない点は、Xアプリケーションを表示する標準機能がまったくないことだ。仕事でWindowsを使っているが、Linuxアプリケーションも同時に使いたい場合、Xmingが役に立つ。Xmingは、X Window systemとMicrosoft Windowsを結ぶ、フリーで使いやすいポートである。
Xmingは、GNU General Public License version 2(GPLv2)によってライセンスが供与され、使いやすいインストーラ付きのWindows実行可能ファイルのパッケージとして提供されている。Xサーバだけが必要な場合――つまり完全なUNIX型の環境は必要ない場合――Cygwin/XよりもXmingを選ぶのが妥当である。また、Xmingは開発の活発さでも勝っている。Cygwin/Xは(ホームページの記述によれば)2004年以来アップデートされていない。
Xmingのインストールは簡単だ。Xmingプロジェクトのページを開き、リリースのセクションを参照しよう。絶対欲しい機能が最新の開発段階のリリースに含まれていない限り、おそらく安定版のリリースを使うのが妥当だろう。最新のXmingを取得し、セットアップウィザードを実行する(OpenGLではなくMesaレンダラを使う必要がある古いクライアントの場合は、Xming-mesaを取得する)。インストールが終了するまで1分ほどだ。おそらくXming-fontsインストーラも取得して、コアXフォントをインストールする必要もある。これらのパッケージのインストールが完了すれば、XをWindowsで実行する準備は終了となる。
Xmingをインストールする過程で、デスクトップにXLaunchというショートカットが作成される。これをダブルクリックするとダイアログが表示され、Xmingでプログラムを表示する方法をマルチウインドウ、シングルウインドウ、全画面表示、タイトルバーなしのシングルウインドウのいずれかに選択できる。
どのウインドウ表示を選ぶかは、予定している使い方次第である。数種類のプログラムを同時に表示するために複数のウインドウをWindowsデスクトップに開くこともあれば、X Display Manager Control Protocol(XDMCP)を使ってコンピュータに接続してデスクトップ全体をWindowsコンピュータに表示することもある。
複数のプログラムを個別のウインドウで実行する場合は、「Multiple Windows」を選択する。このとき、表示番号をダイアログの下部で設定することもできる。これが最初の接続であれば、番号は0のままでかまわない。複数のX接続を作成するには、1、2、3と番号を割り振る。この設定を忘れると、後続のセッションを起動しようとしたときにエラーになる。
次のウインドウでは、セッションのタイプを選択する。今回の接続に関しては、「Start a program」を選択して「Next」をクリックする。
次のダイアログでは、「Run Remote」をクリックし、「Using PuTTY」の横にあるラジオボタンをクリックし、ユーザーとホストの情報を入力する。ここでパスワードを入力しないでおくと、Xmingがリモートシステムに接続する時点でパスワードの入力が要求されることになる。
ここまで順調に進んだと仮定すると、リモートシステムからxtermが表示される。xtermを使って操作するか、xtermからXアプリケーションを起動してXmingを通じてローカルシステムに表示することができる。
また、リモートシステムに接続する際にxterm以外を実行することもできる。その場合は、「Start program」ダイアログで、xtermの代わりに実行するプログラムの名前を入力する。このとき、プログラムの名前がドロップダウンボックスに表示される。このボックスはプログラムをリストから選択するためだけのもののように見えるが、実際には任意のプログラム名を直接入力することもできる。なお、わたしの好みはxtermなどの端末プログラムを使う方法で、これだとプログラムを幾つでも起動できる。
手持ちのXアプリケーション(xcalcなど)とGNOMEやKDEのアプリケーション(Epiphany、Konqueror、Gnome- terminalなど)を片っ端からXmingで起動してみたが、アプリケーションの動作に問題はなかった。Microsoft Windowsの標準タイトルバーなどがあることを除けば、アプリケーションはLinuxで動いているとしか見えない。
また、Xmingを使ってWindowsコンピュータをX端末(に近いもの)として動かすこともできる。先ほどと同様にXLaunchアイコンをダブルクリックし、今回は「One Window」か「Fullscreen」を選択する。次に、「Session type」ダイアログで「Open session via XDMCP」を選択する。次に表示されるダイアログで、接続先のホストを指定するか、XDMCPサーバを自動で検出するようにXmingに指示する。
次のダイアログでは、ほかのパラメータを追加で指定できる。おそらくXmingに前記以外のパラメータを指定する必要はないだろうが、リモートフォントサーバを指定する場合などは、このダイアログで作業を行うことになる。
最後に設定を保存しておくと、後で必要になったときに再利用できる。「Finish」をクリックすると、接続先のシステムでXログインマネジャーが実行していることがローカルコンピュータに映し出されるはずだ。
Xmingは使いやすいツールであり、Windowsを使わざるを得ない人々に素晴らしいXサーバを提供する。フリーソフトウェアなので、Windows用の商用Xサーバと比べて費用の面ではるかに優れている上、リリースも頻繁に行われているため、これからも長く使い続けることができるはずだ。
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