レガシーから脱出しオープンなプラットフォームで生産性向上をMicrosoft Tech・Ed 2007 Yokohama Report

神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、マイクロソフトの年次技術カンファレンス「Tech・Ed 2007 Yokohama」が開幕した。Windows Server 2008やVisual Studio 2008などの最新製品情報が満載の4日間となる。

» 2007年08月22日 00時04分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 8月21日、神奈川県横浜市にあるパシフィコ横浜で、マイクロソフトが主催する年次技術カンファレンス「Tech・Ed 2007 Yokohama」が開幕した。

 Tech・Edはマイクロソフトの最新の技術や製品などの情報を、開発者や技術者に向けて提供する総合的な技術カンファレンス。世界規模で行われており、国内開催は今年で13年目となる。有料の登録制でしかも参加対象者を「3年以上の豊富な業務経験をもつ技術者(アーキテクト、デベロッパー、ITPro)の方」と規定しているだけに、展開される内容も実践的でハイレベルなものまでがそろっている。

 今回のメインとなるトピックとしては、今年後半から来年にかけて出荷が予定されている「Windows Server 2008」「Visual Studio 2008」「SQL Server 2008」という3製品の新機能や技術情報が多く取り上げられている。もちろんそのほか2007 Office SystemやWindows Vista、あるいはSilverlightといった先端技術の解説も随所で行われる。こうした内容が24日までの4日間の会期中に90を超えるセッションで幅広く提供されるが、特に仮想化やWeb開発、セキュリティといった最新のIT分野については、さまざまな観点からの数多くの解説も行われる。

 マイクロソフト 代表執行役 社長のダレン・ヒューストン氏は、初日のオープニングキーノートに立ち、会場を埋め尽くした技術者に向けて国内市場への同社の取り組みと、ITの利活用の推進を呼びかけた。

ヒューストン氏 Tech・Ed Yokohamaのキーノート登壇は3回目となるダレン・ヒューストン氏

 ヒューストン氏は、国内で展開している施策であるPLAN-Jの話題からスタートする。売上で同社第2位の市場である日本へのコミットは、社長就任以来のこの2年間まったく変わっておらず、その間の実績はとても素晴らしいものだったと語り、「10の支店を開設して顔の見えるマイクロソフトを目指し、さらにIT技術者のためのプログラム作りも積極的に行ってきた」と投資の面から例をあげてそれを裏付ける。

 ヒューストン氏が最も重要と考えている要素は、イノベーション(革新)であるという。「より多くのイノベーションを日本に持ち込んで、それを基に革新性に優れた製品を日本発で世界に出して行きたい」とヒューストン氏。

 また、製品の品質こそが日本で最も重要視される評価軸であり、全世界においてその評価水準は最高レベルにあるという。PLAN-Jには、この厳しい目に絶えうる製品を作ることも含まれているとヒューストン氏は言う。

 そしてこれから日本でやっておきたいこととして、デジタルワークスタイルの普及をあげた。従来からヒューストン氏は日本におけるデジタルライフスタイルとデジタルワークスタイルについての指摘を繰り返している。それは、画像や音楽などをPCで楽しむといったデジタルライフスタイルにおいては、日本は各国に抜きん出て利用が進んでいるという。それに対して、ITを生産活動に利用するデジタルワークスタイルは、3年から5年ほどの遅れが見られるというものだ。事実、1995年以降、日本の生産性の伸び率は、欧米のそれに比較して半分ほどに留まっているという。

 「ここには日本の将来がかかっているだろう。ITによって生産性を改善できなければ、高齢化などの人口問題やこれからの景気動向などに大きな問題を残すことになる。グローバル企業ではITが一定の成果を収めているが、今後はローカルカンパニーというその次のレベルの企業に、ぜひITの活用をしてもらい、こうした問題の解決に取り組んでほしい」(ヒューストン氏)

 また、特に日本国内の市場ではさまざまな変革が速いスピードで生まれており、その理由には、レガシーシステムの存在があるとヒューストン氏は言う。レガシーシステムは非常に複雑であり、新しいオープンスタンダードのテクノロジーによるシステムを導入するよりもコストがかかっている例も多いという。さらに、昨今のコンプライアンスや事業継続性といったIT活用のテーマも、その背景にはレガシーシステムの存在が深く関わっているというデータをヒューストン氏は示唆する。特に現在の日本では、欧米に比べてより多くのIT投資を行っているにもかかわらず、その大部分が古いレガシーシステムの保守に使われてしまっているという状況がある。こうしたシステムを完全にリフォームしていくことで高い信頼性と生産性を得ることができるとヒューストン氏は言う。レガシーシステムの存在はプレッシャーだが、裏を返せば改善のための大きな機会があるということだ。ヒューストン氏は、「スタンダードでオープンなITを活用することで、こうした問題の解決に務めて欲しい」と、新たなITシステム(=Windowsシステムという意図であろう)への指向を促した。

 イノベーションの加速やグローバル化など、大きくて速い変化が起きているデジタルワークスタイルの世界だが、これをサポートするITインフラにおいて同社はさまざまな製品をリリースする予定となっている。それらがWindows Server 2008であり、SQL Server 2008というイノベーションをもたらす製品群だ。

 「われわれにとってはコアのコアのインフラストラクチャーであり、デジタルワークスタイルを次のレベルに持っていくために必要な製品群だと考えている。Tech・Edでぜひ情報入手をしてもらいたい。その体験はエキサイティングであることを私が請け合う」(ヒューストン氏)

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