XenによるFedoraの仮想化仮想化の達人(2/3 ページ)

» 2007年10月01日 04時54分 公開
[Andrew-Hudson-and-Paul-Hudson,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

Xenのインストール

 まず、現行のOSを仮想ゲストOSに変更する。難しそうに聞こえるが、実際にはきわめて簡単だ。すでに述べたように、ドメイン0は、ハードウェアに直接アクセスできるなど、特権を持っているからだ。つまり、マシンを再フォーマットする必要はない。dom0は直接ディスクを読み、グラフィックスカードやサウンドカードを使う。

 まず、メニューからApplications→Add/Remove Softwareと進む。ウインドウが開くので、その中のListビューを選び、kernel-xenとvncとxenの3つのパッケージを選択する。kernel-xenパッケージには、Xen上で非特権的に動くよう構成されたLinuxカーネルと、ハードウェアに直接アクセスできるdom0用のLinuxカーネルが含まれている。vncパッケージはVMの管理を容易にし、xenパッケージにはVMを作成し管理するために必要となるツール群が含まれている。依存性はほかにもあるが、Fedoraが自動的に解決してくれるので、このままでパッケージをインストールする。

 新しいカーネルが2つインストールされたため、それをブートできるようFedoraはGRUBブート構成を変更する。元からあった非Xenカーネルはデフォルトとなる。そこで、デフォルトを変えるため、rootになり、適当なテキストエディタを使って/boot/grub/grub.confを開き、そこにあるdefault=2という行をdefault=0に変更する。ここで、数字はgrub.confでのXenハイパーバイザーカーネルの位置を表し、マシンごとに変わる。GRUBは、1ではなく0から番号をつけることに注意。つまり、リスト上の最初のOSは第0番になる。ここで、ゲストカーネルをデフォルトにはできないことに注意しよう。ハイパーバイザー(dom0)上に作られることを前提としたdomUのゲストカーネルは、ブートしないのだ。

 変更したらファイルを保存して再起動する。新しいハイパーバイザーカーネルが起動されるが、その様子に変わったところは何もないはずだ。最初に「Xen」がちらっと表示されるが、それ以外に気づく点はないだろう。しかし、起動後ターミナルを開き「uname -r」を実行してみてほしい。Xenハイパーバイザーカーネルが動作していることが分かるはずだ。

 この時点で、Xenカーネル上にはVMが動作している。今操作しているのはそのVMだ。しかし、この状態ではXenカーネルと交信することもできなければ、システム上にVMを作るなどの操作もできない。それには、dom0とその下にあるXenカーネル間を橋渡しするXenデーモンが必要だ。

 まず、「ps aux | grep xend」を実行して、xendが動作しているかどうかを確認する。動いていなければデーモンを起動する。「su -」コマンドでrootになり、「service xend start」を実行すればよい。デーモンが起動したら、「xm list」コマンドを実行してみよう。そのとき稼働しているVMとそれに割り当てられているRAMの大きさが一覧表示される。その中に、今いるシステムDomain-0があるはずだ。

ゲストOSの設定

 このリストで、ドメイン0が使っているRAMの大きさを確認してみよう。ドメイン0は、おそらく、システム上のRAMをすべて使っているだろう。もしそうなら、新しいゲストOSを作る余地はない。その場合は、使用するメモリを減らして空きを作る必要がある。コマンド「xm mem-set Domain-0 256」を実行する。これで、ドメイン0が使うRAMは256Mバイトに減少する。これはFedoraインストールに必要なメモリの下限であるから、動きが若干遅くなると予想される。RAMが512Mバイト以上あるなら、もう少し大きめにメモリを割り当てた方がよい。

 Fedora上にdomU VMを作る場合は、rootでxenguest-install.pyというスクリプトを実行する。その際、次の項目を設定する。

  1. VMの名前。FCUnleashedなど、分かりやすい名前にする。これは、ほかのVMと区別できるようにするため
  2. 割り当てるRAMの大きさ。256Mバイト以上で、なるべく多く
  3. ファイルを保存する場所。Xenはループバックファイルシステムを使っているため、VMのファイルはすべてドメイン0の1つのファイルの中に格納される。/home/paul/vms/fcu.imgなどとする
  4. 仮想ディスクの大きさ。基本的なインストールでは4Gバイト程度で十分だ
  5. インストールの位置(ここからFedoraをインストールする)。オンラインリソースを設定する

 ここで、しばらく待つ。接続速度によるが、必要なファイルをダウンロードするには時間が掛かるのだ。

 必要なファイルがダウンロードされると通常のFedoraインストーラ(Anaconda)が起動し、インストールモードを尋ねてくる。テキストモードとVNCのいずれかだ。ここではStart VNCを選ぶ。これでインストールはグラフィカルになるが、Xenのゲストはハードウェアに直接アクセスできないので、グラフィックスを表示しようにもその場所がないはずだ。実は、VNCでは、Xen VMのグラフィックスをウインドウ内にあるdom0のディスプレイに表示させることができる。つまり、ここを通して複数のVMを同時に扱うことができるのだ。Start VNCを選択するとパスワードが要求されるので設定し、OKをクリックすると、VNCアドレスが表示される。このアドレスは10.0.0.1:1などといった形式をしている。ここで、:1はVNCディスプレイの番号を表す。ディスプレイに接続するときに、このアドレスが必要になる。

 dom0に戻り、はじめにインストールしておいたVNC Viewerを起動する。まず、メニューからApplications→Accessories→VNC Viewerと進む。先ほどのアドレス(上の例で言えば:1の部分まで)を入力し、Connectをクリックする。パスワードを要求されるので先ほど設定したものを入力する。これでVNCが起動し、Fedoraインストーラーが表示されるはずだ。画面の解像度によるが、Fedoraインストーラーが画面からはみ出している場合はスクロールバーを使う。

 ここから先のインストーラの動きは通常と同じ。ただし、先ほど作った仮想ディスクを使うため、ディスクの余裕は乏しい。ハードディスクは/dev/xvdaなどとなるが、気にする必要はない。

関連キーワード

Xen | 仮想化 | Fedora | VMware | オープンソース


Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ