MS、Officeにコラボを──Unified Communicationsリリース(2/2 ページ)

» 2007年10月05日 19時04分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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 このユニファイドメッセージングはOCS(Office Communications Server)コンポーネントと組み合わせられて、完全な音声ソリューションを実現する。同時にOCSは、音声、映像、Web、IM、VoIP(Voice over IP)機能などを介した会議を実施する役割も果たしている。

 「すなわち、両方の製品がいっしょになって、Active Directoryおよびプレゼンスに基づく完全なユニファイドメッセージングソリューションを成り立たせているのだ。企業のIT部門は、2つのコミュニケーションインフラストラクチャを別々に運用する代わりに、ユーザーの割り当てや計画変更などを行う共通の管理ツールを使用できるようになる」(エイカーズ氏)

 Exchange 2003を使い続けたいユーザーは、プレゼンス、メッセージング、会議機能などをそれまでと同じ方法で利用できるが、この場合は、リッチボイスメール統合や、モバイル電子メールの一部の高度な機能が無効になるという。

 「ほかのボイスメールシステムとの統合も進めているが、最高のエクスペリエンスは、Exchange 2007と併用したときに得られる」(エイカーズ氏)

 もっとも、Directions on Microsoftのアナリストであるロブ・ホーウィッツ氏は、古くからPCベースシステムとうまく連係してきた従来の電話システムの交換に、安易に踏み切る企業は多くないと注意を促す。

 「短期間で新たなシステムを普及させるのは、非常に難しいだろう。これに加え一部の企業は、より強固なセキュリティとすぐれた利便性などを求めて、ウェブ会議機能を外部委託するのではなく、社内で運用することに興味を持つかもしれない」と、ホーウィッツ氏はeWEEKに語った。

 Microsoftの音声およびウェブ会議プラットフォームを使用するには、現時点ではきわめて高度な専門知識が必要だ。特に、社外で作業する社員をファイアウォールで保護したり、エンジニアに冗長化による耐故障性機能を提供したり、音声会議プロバイダーと連係したりするのは、非常に難しいという。

 「何万人ものユーザーを抱える大規模な組織がCommunications Serverを導入するためには、数十台のマシンが必要になる。そうした現実が、一時的に普及を遅らせていると考えている」(ホーウィッツ氏)

 これに対してエイカーズ氏は、すでに多くの顧客がVoIPへの移行を決定しており、彼らが既存環境の中で同ソフトウェアをテストし、競合製品と比較しようとするのも時間の問題だと主張している。

 大半の顧客は、まず最初にメッセージングおよびプレゼンスインフラストラクチャをインストールし、その後、現行のPBXインフラストラクチャを温存したまま、残りのユニファイドコミュニケーション機能を導入して、PBXと新システムを交換するかどうかの最終的な決断を下すという段階的なプロセスを踏んでいると、エイカーズ氏は説明した。

 ホーウィッツ氏ものこの見解には同意を示し、企業が旧型PBXの代わりにするなら、IPネットワーク上での音声コミュニケーションが可能な新システムが最も可能性の高い選択肢だろうと述べた。電話専用線を何本も別個に保守管理する必要がないし、社員が複数のオフィス間を移動しやすくなるからである。

 「VoIPに関しては、テレフォニープロバイダーが数年前からそのコンセプトをアピールしてきたので、Microsoftは現状をうまく利用できるだろう」(ホーウィッツ氏)

 しかし、ユニファイドコミュニケーション機能の利用に付随して増えるであろうデータを処理するために、多くのユーザーがネットワークをアップグレードしなければならなくなることも、エイカーズ氏は認めている。

 そうした事情に鑑みて、マイクロソフトはユーザーが望み通りのパフォーマンスを得るのに必要な帯域幅に関して最低条件を定め、Cisco SystemsやAvayaとも協力して、顧客のネットワークの最適化に努めているという。

 さらにエイカーズ氏は、ネットワークをアップグレードすることになっても、ユニファイドコミュニケーションソリューションがもたらすメリットは、コスト面でのデメリットを凌駕すると断言した。

 「ITの視点から見た場合、インフラストラクチャを単独のプラットフォームおよび管理ツールセットにまとめられれば、非常に大きな経費節減効果が現れる」とエイカーズ氏は話し、同社自身が、今はExchange 2007に組み込まれているボイスメール製品の利用コストを年間500万ドル近く減らした事例を引いた。

 これらの「具体的なITコスト削減効果」は、VoIPへの移行によるメリットとはまた別のものである。生産性の面においては、必要なときに必要な相手とコミュニケーションが図れるようになることが、時間の節約という形あるメリットを生む。「プレゼンス機能は、生産性の向上を実際にもたらす重要な要素となっている」(エイカーズ氏)

 UCの導入を検討した顧客は、すべてをMicrosoftプラットフォーム上にまとめることに価値があると判断するタイプ、複数の異なるプラットフォームを利用し、それぞれを連係させようとするタイプ、競合各社のソリューションをばらばらに取り入れたいと考えるタイプの3種類にはっきり分かれていたという。

 「こういった背景があったからこそ、われわれは互換性の確立を重視し、全PBXベンダーと力を合わせて、それぞれの連係がうまくいくよう取り組んできたのだ」と、同氏は述べた。

 アナリストのエンダール氏も、同氏いわく「信じられないほど保守的」になりがちなPBXベンダーを相手に、Microsoftは首尾よく互換性を獲得できたと評価している。

 「これまで最大の障害となっていたのが、互いの連係や共通する標準の欠如だ。20年前にも現在と同じような強力なソリューションがテストされており、IBMとAT&Tが同プロジェクトに巨費を投じたのだが、共有できる標準がなく、ベンダー、IT企業、電話会社間の協力体制が整っていなかったため、計画は頓挫してしまった」(エンダール氏)

 エイカーズ氏によれば、同製品の初期利用者およびTAP参加者は現在、いくつかの問題に直面しているという。代表的なものがユーザーの行動に関する問題で、人々に旧式の電話機ではなくCommunicatorソフトウェアを使わせて電話をかけさせるのが、なかなか難しいそうだ。

 ほかにも、特に職場の外からネットワークに接続した場合に、音声品質が通常より劣化してしまうおそれがある。

 この問題を解消するため、Microsoftはユーザーが使用しているネットワークの種類に応じた調節が可能な適応型コーデックを開発し、音声品質を一定に保つようにしていると、エイカーズ氏は話した。

 これらのコーデックを品質エクスペリエンスを監視するサーバと併用することで、IT部門は品質エクスペリエンスの観点からどのような事態が発生しているかを把握し、状況を分析できるようになる。

 「これはTAPの参加者から得たフィードバックを基に進めた取り組みなのだが、製品の本リリース前に搭載しておく必要のある新機能を特定するのに、同プログラムは本当に役立っている」(エイカーズ氏)

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