MS、Officeにコラボを──Unified Communicationsリリース(1/2 ページ)

音声、映像、Web、IM、VoIPなどを実現するコミュニケーション製品が発表を控えている。Microsoftは、同製品の中核となるOffice Communications Serverを米国で16日に披露する。

» 2007年10月05日 19時04分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftが、10月16日にサンフランシスコで開催するイベントにおいて、統一型コミュニケーション製品「Unified Communications(UC)」を発表することを明らかにした。

 ワシントン州レドモンドに拠点を置くMicrosoftは同イベントで、プラットフォームとしてのコミュニケーションに多額の投資を行い、これがパートナー企業の広範なエコシステムに大きなチャンスを与える可能性があることを踏まえて、同社の製品が他社製品と一線を画している点を強調しようともくろんでいる。

 イベントでは、同製品の中核を成す「Office Communications Server 2007」および「Office Communicator 2007」が即日リリースされる予定だ。

 MicrosoftのUC部門ゼネラルマネージャーを務めるキム・エイカーズ氏は、「両製品はリリース予定製品価格表にすでに掲載されており、ユーザーは当日からこれらを購入できる。主要国の公用語に対応した製品を提供することも、同時に発表するつもりでいる」と話した。

 Office Communications Server 2007およびOffice Communicator 2007のベータソフトウェアは、すでに8万回近くダウンロードされており、報道向け資料も17万部ほど出回っている。「設定や運用にかなり高度なIT技術が必要になる製品としては、異例と言ってもよい関心の高さだ」(エイカーズ氏)

 「TAP(Technology Adopter Program)」と呼ばれる早期利用者向けプログラムには、世界30か国の大企業を中心に、およそ155社が参加している。大規模かつ複雑なインフラストラクチャを所有し、自社の環境の中で同技術を検証してフィードバックを返せることが、プログラム参加の選考基準になったという。

 Office Communications Server 2007およびOffice Communicator 2007のコードは、7月27日に製造企業へ提供されている。

 同技術は、頻繁に外出し、デスクにいる時間が少ない企業社員が利用するのに最適なものだが、早期利用ユーザーの大半が社内にそうしたタイプの社員層を抱えていると、エイカーズ氏は説明した。

 「とはいえ、販売サイクルという観点からすると、技術の導入を決定する責任者の数が少ない中小企業の方が、この手のソリューションの売り込みははるかに簡単だ。したがって、中間市場でも悪くない業績を残せるのではないかと期待している。しかし研究開発の面では、大企業を主な対象としていくつもりだ」(エイカーズ氏)

 Enderle Groupのアナリスト、ロブ・エンダール氏も、Microsoftによるユニファイドコミュニケーション分野への進出は「今後の市場動向を左右する重要な出来事」だと述べているが、第三者がそうした技術を提供することに昔ながらのPBXベンダーが抵抗し、妨害する可能性も高いとの見解をeWEEKに示した。

 「このような変化が起こるには、普通は数十年の時間がかかるものだ。今は時代の流れが速いとはいえ、状況が大きく変わるには5年あってもまだ足りないだろう」(エンダール氏)

 同イベントでは、会長のビル・ゲイツ氏をはじめとするMicrosoftの幹部が、同社のビジネスアプリケーション製品ラインに食い込もうと考えているデバイスおよびハードウェアベンダーから、独立系ソフトウェア企業(ISV)まで、多種多様なパートナーもしくはベンダーのエコシステムを構成する中核企業と、共同で進めてきた取り組みについて紹介する予定になっている。

 さらに、互換性の確立を見据えたPBXベンダーとの提携や、Microsoftのソリューションを含むユニファイドコミュニケーションシステムの構築に投資しているシステムインテグレーターとの協力なども、討議の議題として取り上げられる。

 「多数のPBXベンダーとともに取り組んでいる事業や新たな提携契約ばかりでなく、ISVおよびシステムインテグレーターとの協力体制に関する情報も発表するつもりだ」(エイカーズ氏)

 MicrosoftのUnified Communicationsは、スタックの中核部分に「Active Directory」およびプレゼンス機能があり、その上に、メッセージングインフラストラクチャやインスタントメッセージング(IM)、音声およびビデオ会議といった複数のコミュニケーションモードが統合された形で実装されている。従来のように各モードが孤立していないので、ユーザーは任意のアプリケーションから、あらゆるコミュニケーションモードを自由に使用できる。

 モバイルメッセージングから、「Exchange 2007」に含まれているユニファイドメッセージングまで、基本的なメッセージングインフラストラクチャはMicrosoft Exchangeが提供し、これによってユーザーは、1つのインボックスで電子メールやボイスメール、ファックスなどを利用できるようになっている。

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