“2代目”インテルvProはセキュリティを強化

インテルは、企業向けのPC管理プラットフォーム「vPro」の最新動向を発表した。第2世代ではハードウェアベースのセキュリティ機能が強化された。

» 2007年10月11日 20時02分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インテルは10月11日、企業向けのPC管理プラットフォーム「vPro」の最新動向を紹介する「vPro テクノロジー・コンファレンス 2007」を東京都内で開催した。8月に発表した第2世代のvPro(コードネーム:Weybridge)技術を中心にユーザー事例が発表された。

吉田和正共同社長

 冒頭の挨拶で、吉田和正共同社長は「初代vProの発表から1年が過ぎ、これまで約2000人のユーザーにvProテクノロジーを直接体験していただいた。企業PCには、セキュリティ、運用管理コスト、消費電力のさらなる低減化が求められ、第2世代ではこれらを一層強化している」と述べた。

 続いて米Intelデジタル・エンタープライズ事業本部副社長のグレゴリー・ブライアント氏およびユーザー企業の代表者らがvProテクノロジーの利用シーンやWeybridgeの技術を紹介した。

グレゴリー・ブライアント米Intel副社長

 ブライアント氏によれば、vProはこれまでに世界で約600万ライセンスが出荷され、導入企業数も大手を中心に350社以上になるという。「フォーチュン上位50社が導入し、運用管理コストの削減化を一層進めている」と語った。

 第2世代のvProは、初代(コードネーム:Averill)に導入されたリモート管理技術「Active Management Technology(AMT)」に加えて、ハードウェアベースでシステムの安全起動状態の監視する「Trusted Execution Technology(TXT)」が加えられた。

 特に、TXTではシステムの構成情報をTPM(Trusted Platform Module)チップに記録し、この情報をローカルおよびネットワーク経由での認証に利用できるという。構成情報は、OSとは異なる仮想領域で管理されるため、OSの脆弱性などの影響を回避できる。また、メモリダンプを自動消去する機能も持ち、メモリ内の機密情報の漏えいを防ぐことができるという。

第2世代vPro搭載のチップセットでは、消費電力量が最大時、アイドル時とも大幅に削減された。
TPMチップにあるシステム構成情報とネットワーク上の「TNC(Trusted Network Connect)サーバ」の情報を照合して認証を行う仕組みが可能になる。

オープンネットに強固なセキュリティ

 ユーザー側からは自動車変速装置製造ジャトコの浅井正克CIOと、名古屋大学脳神経外科教授を務める東海ネット医療フォーラムの吉田純代表理事、富士通の川妻庸夫経営執行役が登壇した。

 ジャトコではウイルス対策や情報漏えい対策を重点にセキュリティ対策を進めており、企業PCの資産・セキュリティ管理が課題となったことから、vPro技術を利用したIT環境の構築に取り組んでいる。

 インテルの試算によれば、vProのAMT管理機能を利用することで、ジャトコの場合では5年間の投資額約4200万円に対してROI(投資対効果)が約9900万円になるという結果となった。「設計やデザインなど製造業の生命線となるデータはソフトウェアだけでは完全に守りきれない。第2世代vProのセキュリティ技術に期待しており、全社規模で導入を計画している」と、浅井氏は話した。

 東海ネット医療フォーラムの吉田氏は、2006年度から進める経済産業省の「地域医療情報システムの標準化及び実証事業」でのケースを紹介した。東海地区では、同フォーラムが中心となって脳卒中診療での地域連携の仕組み整備を進める。これは、脳卒中の発症段階から回復にいたるまでの各段階で診療に携わる各機関をネットワークで結び、患者の診療情報を共有化する仕組みとなる。

 吉田氏は、「現在は電子データの標準化を進めており、ネットワークも光ファイバによる100Mbpsの閉域網を利用する。だが、この仕組みを全国へ広げるにはオープン環境が必要になり、セキュリティも万全のものでなければならないだろう」と述べ、ネットワークセキュリティの課題に対処するvPro技術への期待感を示した。

 富士通では、企業向けネットワークサービス「FENICS」においてインテルと共同でネットワークセキュリティに関する研究を進めている。川妻氏は、「ネットワークがさらにオープン化することで、ハードウェアベースで世界標準となるセキュリティ対策が求められる。われわれはPC単体だけでなくネットワークレベルでのセキュリティにも率先して取り組んでいる」と話した。

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