社員の気持ちを一つにするコミュニケーション

10月24日から26日まで、東京ビッグサイトで最新のIT活用情報を展示する「Biz Innovation 2007」が開催されている。基調講演でMS樋口氏は、企業におけるコミュニケーションの重要性を語った。

» 2007年10月24日 12時50分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 10月24日から26日まで、東京・有明の東京ビッグサイトで、最新のIT活用情報を展示する「Biz Innovation 2007」が開催されている。「経営とワークスタイルを革新する新時代のITイベント」を標榜し、SaaSや内部統制あるいはネットマーケティングといった話題性のあるテーマをトピックとして取り上げ、展示会とフォーラムおよびセミナーにより導入事例などのさまざまな情報を紹介している。

 初日の基調講演には、マイクロソフトの樋口泰行 代表取締役兼COOが登壇した。

マイクロソフト 代表取締役兼COO 樋口泰行氏

 樋口氏は今年3月にマイクロソフトへ入社。それ以前に務めた日本HP、ダイエーなどにおける自らの経験から、「企業の経営にとって、人の力はとても重要」と話を切り出す。

「社員の気持ちが一つになり、活性化していかなければ、経営統合や再建といったことは不可能だと身に染みた」(樋口氏)

 こうした人のモチベーションが会社の活力となることは明白だが、ではその源泉となるものは何か。樋口氏は「給料とかインセンティブではない。この人と仕事をしたいとか、この人なら信頼できるという気持ちのつながりだ」として、それにはコミュニケーションが不可欠だと言う。つまり、社員の力やその潜在力は、常に潤滑なコミュニケーションによって引き出されるものであるということだ。

 マイクロソフトが掲げる「people ready business」はまさにこうした考え方であり、同社のユニファイドコミュニケーション(UC)は、これを象徴するテクノロジーといえる。

コミュニケーションの変遷

 かつて顔と顔をつきあわせた会話や紙による伝達で行っていたコミュニケーションが電話やFAXに変わり、さらには携帯電話や電子メールなどを用いるようになった。そして現在はインスタントメッセージ(IM)の利用やWeb会議などへと発展している。ネットワークの進化、特にモバイル環境の充実やIP対応デバイスの登場など、さまざまな要因がこうした動きを加速させてきた。今や、既存のアプリケーションとの連携などを見据えた統合コミュニケーションを考えるべきときに来ていると樋口氏は言う。

 だが、日本の企業はいまだ部門内最適化にとどまっているのが現状。これを打開するために「企業内のあらゆるコミュニケーションの手段を統合し、最適なものを最適なタイミングで利用できる環境が求められている」(樋口氏)

 マイクロソフトのUC戦略は、こうしたニーズに応えるソリューションがあると樋口氏。その代表的な機能が「プレゼンス」だ。

 「プレゼンスでは、その人が在席しているか、あるいはどこにいるかを表示できる。これが、毎日利用するアプリケーションのUIに埋め込まれている」ことで、ユーザーはいつでも最適なコミュニケーションを実現できると樋口氏は言う。しかも、SIPという業界標準のテクノロジーを用いて構築しているため、柔軟性に富み、かつ信頼性も高いという。

 実際の製品である「Office Communicator 2007」などのデモンストレーションを行った同社インフォメーションワーカービジネス本部の越川慎司氏も、「こうした環境では、IMを送って相手の許可を得た後に電話をかけるなど連絡を受ける側の状態を考慮することができるため、コミュニケーションを円滑に進めることができる」とそのメリットを強調する。

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 越川慎司氏

 一方、UCに関するガートナーの調査によれば、市場と技術は急速に成熟しつつあるが、全体的にはいまだ初期段階にあるという。それは主に、「ベストプラクティスの確立がなされていない」「投資に対する効果が見えにくい」という2点に起因するとしている。ガートナージャパンの堀勝男氏は、コミュニケーションを進化させて企業の俊敏性を高めるためには、リアルタイムインフラストラクチャーを構築すべきだと唱える。また、その構築に際して志向すべき3つの要素を俊敏性、信頼性、経済性と定義する。

「特に俊敏性の部分で人的遅延を解消するために、UC導入の機運が高まってきている」と堀氏。「PBXを設置している企業の20%がすでにIPテレフォニーへ移行しており、80%以上がUCを試験的に運用している。さらに、今後3年間で大半の企業がUCを導入する見込み」であると堀氏は予測する。

 マイクロソフトはこうした動きを武器に、パートナーとの協業でさらなるUCの普及に努めていくと樋口氏。すでに全世界で110社以上のパートナーとともにソリューション提供を始めており、日本でも20社との協業が進んでいるという。

 なお、東京ビッグサイトでは上記期間、「eドキュメントJapan 2007」「Security Solution 2007」「IPコミュニケーション&モバイル 2007」「ビジュアル・コミュニケーション 2007」が併催されている。入場料は2000円(税込み)。

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