成熟化するITリスクには統合化された対策を――SymantecトンプソンCEO

シマンテックは、プライベートカンファレンスの「Symantec Vision 2007」を開催。米Symantec会長兼CEOのトンプソン氏が、ITリスクに対する取り組みを説明した。

» 2007年11月02日 22時11分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シマンテックは11月2日、年次プライベートカンファレンスの「Symantec Vision 2007」を東京都内で開催した。米Symantecのジョン・トンプソン会長兼CEOらが来日し、同社の事業展開について説明を行った。

 日本でのSymantec Visionは今年で7回目を迎える。事前登録が2300人を超えるなど、ITインフラ管理やセキュリティに対するユーザー企業やパートナー企業の関心がうかがえる盛況ぶりとなった。冒頭の基調講演には、トンプソン氏とグローバルサービスグループ担当副社長のグレッグ・ヒューズ氏、シマンテックの木村裕之社長が登壇した。

ジョン・トンプソン米Symantec会長兼CEO

 まず、トンプソン氏は「現代はコンシューマー、ビジネスを問わず、あらゆるものがオンラインを介してつながるコラボレーションの世界。そして、この世界につながるインフラやシステム、デバイスも複雑化している。企業はこうした複雑性を最適化してIT投資の最大化を求め、コンシューマーは利用するデバイスやサービスが何よりも安全であることを望んでいる」と語った。

 特にエンタープライズ領域においては、ITインフラの複雑化、内部統制、システムの可用性確保といったことに追われ、取り組みの不備がリスクへとつながりかねない。「インフラ管理とセキュリティ対策は、もはや切り離して考えられるものではなく、統合的なリスク管理、そしてプロセスの標準化が望まれている。われわれは、こうしたニーズに対し、大企業から中堅・中小企業、コンシューマー領域において、強力なポートフォリオを形成してきた」とトンプソン氏は述べた。

 6月に行われた米国でのSymantec Visionでは、ITインフラの統合化を図る「Storage United」戦略を発表。この戦略に基づいた大規模ストレージ環境向けのデータ管理プラットフォーム製品「Veritas NetBackup 6.5」を、日本では9月に発売した。「これにより、データ保護、サーバ管理、アーカイビングなどストレージ管理に求められる当社のソリューションが完成した」とトンプソン氏。

 また、セキュリティ対策では社内や企業間で日常的に交わされる情報の保護と管理を行う「Information Foundation」、デスクトップやモバイルを問わず、多様なエンドポイント環境における端末の保護とアクセス管理を実現する「Endpoint Protection 11.0」を発表している。

 こうした製品群に加えて、同社ではこれまでに培ったITリスク対策のノウハウを包括的に企業へ提供するコンサルティングサービス「IT RISK Assessment Service」を6月のSymantec Visionで発表。日本でも11月2日からサービスを開始した

リスク“ゼロ”を

 IT RISK Assessment Serviceを推進するグレッグ・ヒューズ副社長は、「日本の製造業は今から30〜40年ほど前に“リスクゼロ”という信頼を作り上げた。今ではこれが世界の製造業の常識となっている。われわれが目指すのは、ITにおける“リスクゼロ”の実現だ」と語った。

グレッグ・ヒューズ米Symantec副社長

 同サービスでは企業に潜むさまざまなITリスクを、経営層からのヒアリング、また独自のITシステム評価ツールなどを利用しながら評価する。さらには、具体的な対策手順やシステム、管理プロセスの設計などを行い、運用開始後の定期的な評価、また継続的な支援までも提供していく。

 「実際にはどのようなITリスクが存在し、どこから手をつければよいか分からないという企業も多い。また、経営層が描くITの理想像と現場が抱える実際のITリスクとの間に深い溝が存在することもある。こうした問題をなくし、ITの真の価値を引き出す」(ヒューズ氏)

 さらにヒューズ氏は、「企業がITリスク対策で行うアプローチには、『自己防衛』『外部の知恵を借りる』『アウトソースの検討』『戦略的なアウトソーサーの利用』という、4つのステップがある。われわれはすべてのステップにおいて、最適なサービスを提供でき、戦略的なパートナーとなれるだろう」と話した。

木村裕之シマンテック社長

 基調講演後の会見で、シマンテックの木村裕之社長は「日本でもJ-SOX法や新会社法に対応する動きが本格化している。ITリスク管理は企業経営にとって重要な課題であり、万全の対策が企業の価値の最大化へつながる。日本のユーザーに対してもわれわれは全力で支援を行っていく」と述べ、新サービスを含めた今後の事業展開に意欲を示した。

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