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» 2007年11月19日 16時37分 公開

VMwareの市場を狙うMicrosoft

Microsoftは、仮想化市場での覇権獲得を狙う。だがアナリストによると、VMwareの技術はMicrosoftの技術よりも汎用性が高く、異種混在環境では有利だという。

[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 VMwareは仮想化製品によって企業の現在のハードウェア環境から多額の収益を得ているが、Microsoftでインフラサーバのマーケティングを担当するコーポレート副社長、ボブ・ケリー氏によると、Microsoftもその価値連鎖に加わりたいようだ。

 スペインのバルセロナで開催された「TechEd IT Forum」カンファレンスにおいてケリー氏は米eWEEKの取材に答え、「Microsoftは2つの主要分野でVMwareとの差別化を図っている。仮想化の対象として当社が考えている範囲の広さ、そして物理、仮想、アプリケーションのすべての層にわたる管理だ」と語った。

 「われわれはWindows Server 2008、そして同製品に組み込まれる当社のハイパーバイザーであるHyper-Vにより、障害復旧と事業継続をめぐる顧客の問題を解決することを可能にする基盤を提供する」(同氏)

 しかしEnderle Groupのアナリスト、ロブ・エンダール氏によると、Microsoftの方針が自社のWindows OSに仮想環境を緊密に連携することであるのに対し、VMwareの技術はより汎用性が高いという。

 「Windows専用マシンであればMicrosoftの方が有利だが、混在環境を運用するマシンの仮想化では同社が不利になる。ケリー氏は、VMwareがEMCの子会社であるという事実も忘れている。EMCは混在環境における障害復旧と事業継続という分野では、現在のMicrosoftよりも優れている」とエンダール氏はeWEEKの取材で語った。

 同氏によると、VMwareと親会社のEMCの関係も、今後の原動力として注目されるという。子会社のVMwareと親会社のEMCという関係が大きな競争圧力の源泉になるからだ。

 「Microsoftは真のクロスプラットフォーム管理を可能にするのか」という質問に対し、「顧客がさらにハイエンドのデータセンターに移行するのに伴い、クロスプラットフォーム管理がいっそう重要になってくると当社は認識している」とケリー氏は答えた。

 ケリー氏によると、Microsoftはこのニーズに応えているとして、自社のハイパーバイザーが他社のプラットフォームもサポートすること、そして自社のVirtual Machine Managerでは、VMwareのVI3およびオープンソースハイパーバイザーのXenが動作する仮想システムの管理、構成、最適化が可能になることを指摘した。

 しかしソフトウェア業界の巨人、Microsoftの真価は、深いレベルの管理機能を提供できることにある。「Hewlett-PackardのOpenViewやIBMのTivoliには、管理機能の深さが感じられない」とケリー氏は話す。

 「Microsoftはクロスプラットフォームアプリケーションを管理あるいは提供するためのすべてのソリューションを開発する予定なのか」との質問に対しては、ケリー氏は明言を避け、それは個別事業案件ごとに判断することだと述べるにとどまった。同氏によると、MicrosoftはマルチOSをゲストとしてサポートするとともに、Virtual Machine Managerなどのツールですべてのプラットフォームを管理できるようにするという方針を採用したという。

 「こういった動きから分かるように、われわれはこの問題を真剣に考えているが、幾つかの部分で非常に慎重になっているのには多くの理由がある。第一に、われわれの専門はWindowsであり、クロスプラットフォームのサポートは当社の中心的価値提案からやや外れるものだということだ。それはそれで対応できるが、われわれはまだその一歩を踏み出していない」とケリー氏は話す。

 エンダール氏は、Microsoftがその一歩を踏み出すかどうかは疑問だとしている。同社がクロスプラットフォーム企業でないからだという。「同社は相互運用性に関しては驚異的な強さを見せたが、クロスプラットフォーム管理に関しては、OSに対して寛容なVMwareやHPなどの企業の方がうまくやれる。もちろんMicrosoftはWindowsの管理は非常に得意だが、ほかのプラットフォームの管理も得意になるとは思えない」。

 しかしケリー氏によると、Microsoftでは、あらゆるものを統合するプラットフォームとしてWindowsを確立し、その環境を管理するツールを開発するつもりだという。「現時点では、それ以上のことは言えない」と同氏。

 「Hyper-V技術の出荷が来年後半になるのに対し、Red Hat LinuxとNovellのSUSE Linuxが既にXenハイパーバイザーを搭載しているのは、Microsoftにとって不利な状況ではないか」との質問に対し、ケリー氏は「Microsoftのハイパーバイザーがもっと早く完成していればよかったが、この市場はまだ非常に未熟だ」と答えている。

 「この市場が未熟であるという点を考慮すれば、われわれは他社に後れを取っているとは思わない。サーバ仮想化技術が搭載されているのは、サーバの新規出荷台数の5%にも満たないのだ。確かに、現在は非常に熱気を帯びた状況であり、この市場に大金が投じられている。われわれがこの状況にもっと関与したいのかと問われれば、もちろんそうだ」と同氏は話す。

 しかし論理構成を物理構成から分離する技術がIT分野全体に広がる中、サーバ以外の要素も仮想化するというニーズの方に市場が急速にシフトする見込みだ。ケリー氏によると、この変化は向こう5年余りの間に起きると予想され、この分野での競争もまだ初期段階にあるという。

 エンダール氏はこの見方には同意せず、Microsoftが出遅れたのは明らかだとしながらも、同社の巨大な市場シェアはこの遅れを十分に補うものだとしている。

 また、複数の仮想マシンを運用する際に大きな威力を発揮するマルチコアシステムも、魅力的な価格で市場に出回り始めたのはつい最近のことであるため、Microsoftには追いかける時間があるという。「Microsoftが本気で取り組めば、この不利な状況を克服できるはずだ」(エンダール氏)

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