今そこにある選択――VMwareかMicrosoftか、それが問題だ仮想化の達人(1/2 ページ)

現時点で仮想化市場をリードしているVMware。そしてそれを追うMicrosoft、Citrix、オープンソースコミュニティー。現時点で仮想化技術を用いてサーバの仮想化を行うのならあなたはどんな選択をするだろうか。

» 2007年09月25日 04時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「仮想化の達人」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


質問

仮想化技術が世の中で話題になっており、当社でも本格的に導入を検討しています。VMwareやXenが現時点では本命かと思うのですが、Microsoftも仮想化技術への取り組みが進んでいると聞きます。すぐに導入したいと思った場合、どの製品を選ぶべきなのでしょうか。


回答

 今年から来年にかけてはハイパーバイザ方式の仮想化ソフトウェアが主流になるとみられています。ここでは、MicrosoftとVMwareの2社の動向について解説しますが、「今すぐに」ということであれば、VMware製品を選択するとよいでしょう。

登場が待たれるWindows Server Virtualization

 すでにホストOS型の仮想化ソフトウェアとして、Windows Server 2003 R2上で稼働する「Virtual Server 2005 R2」を無償提供しているMicrosoftですが、2008年に登場予定の「Windows Server 2008」では、ハイパーバイザ型の仮想化ソフトウェアとして、コード名で「Viridian」と呼ばれていた「Windows Server Virtualization(WSv)」が実装される予定です。

 WSvでは、「Windows hypervisor」と呼ばれるハイパーバイザレイヤ(仮想マシンモニタ)の上に、Xenでいうドメイン0とドメインUに相当するペアレントパーティションとチャイルドパーティションが動作します。チャイルドパーティションではWindows Server 2003/2008はもちろん、XenSourceとの提携の結果Linuxも動作する予定ですが、Windows 2000やWindows NTといったOSを動作させる場合は、ハードウェアエミュレーションを経由する実装となっているため、Virtual Server 2005 R2と比べて大幅なパフォーマンスの向上は期待できないかもしれません。

 ここで、WSvとVMware ESX Serverとの違いを気にされるかもしれません。上述したように、同じハイパーバイザ型ですが、両者はデバイスドライバの扱いが大きく異なります。

 VMware ESX Serverでは、ハイパーバイザ上でデバイスドライバが動作するのに対し、WSvでは、物理デバイスのデバイスドライバは、ペアレントパーティションで動作しているWindows Server 2008(もしくは中核機能だけの“Server Core”)のデバイスとして管理され、これを仮想化してチャイルドパーティションに対して提供する形を取っています。

 両者の実装の違いは、パフォーマンスだけを見ればVMware ESX Serverの方が効率よく稼働するはずですが、WSvの実装形態であれば、Windows Server 2008用のデバイスドライバが存在しているのなら、それがそのまま利用できることを意味しています。

 ここまでを見るとMicrosoftとVMwareは一長一短と思われるかもしれませんが、実際の検討段階では注意が必要です。例えば、VMwareではすでに実装しているライブマイグレーション機能を見ても、WSvではまだ実装のめどが立っていないようです。

 また、現時点でWindows Server 2008のリリースは、2008年2月末の予定です。WSvはWindows Server 2008のリリースから180日、つまり半年以内にリリースされる予定となっています。

 しかし、先月末、MicrosoftはWindows Server 2008の製造工程向けリリース(RTM)を2008年第1四半期に延期することを明らかにしています(関連記事参照)ので、WSvが2008年内に登場するかどうかはまだ予断を許さないところがあるなど、すぐに仮想化技術を利用したいユーザーにとっては選択肢に入れてよいか悩ましいところがあります。

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