MS、Windows Server 2008のリリースを延期

MicrosoftがWindows Server 2008のリリース延期を明らかにした。これによって仮想化技術の「Viridian」の導入も遅れる見通しとなった。

» 2007年08月30日 12時22分 公開
[Michael Hickins,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは8月29日、Windows Server 2003の後継版となる「Windows Server 2008」のリリースを延期することを明らかにした。

 Microsoftの広報担当者は同社の「TechNet」サイトのブログ記事の中で、「これまで、Windows Server 2008の製造工程向けリリース(RTM)は2007年末だとしてきたが、現時点では2008年第1四半期にRTMを予定している」と述べている。

 同広報担当者は、プログラムマネジャーのアレックス・ヒンリクス氏の「焼き上がるまでもう少し時間がかかる」という発言を引用している。

 今回の延期は、ユーザーやパートナーにとって大した驚きではないようだ。ワシントン州レドモンドの巨人が新製品を予定通りにリリースできないのを何度も見ているからだ。最近ではVistaの例がある。

 しかしWindows Server 2008のリリース延期は、Microsoftの「Viridian」ハイパーバイザーに影響する。同社はこれまで、同製品のリリースから180日後にViridianを出荷するとしてきたからだ。ロンドンにある451Groupのアナリスト、ジョン・アボット氏によると、今回の延期により、この重要な技術コンポーネントの導入が2008年末、場合によっては2009年に先送りされるとになると指摘する。

 今回の延期はユーザーには影響しないかもしれないが、一部のパートナーならびに少なくとも1社の有力なライバルに影響を与えることは間違いなさそうだ。

 アボット氏によると、ユーザーはViridianが登場するまでWindows Server 2003のアップグレードを見合わせる可能性が高いという。つまり、Windows Server 2003からの移行が遅れることになるのだ。「ユーザーはViridianが登場するのを待っている。これがあれば、Windows Server 2008と従来版サーバを共存させてテストできるので、移行プロセスで混乱を避けることができるからだ」と同氏は話す。

 Windows Server 2008に組み込まれる仮想化技術が登場すれば、Microsoftにとって大きなアドバンテージになるだろう。「この技術がコアインフラに組み込まれれば、VMwareのような競合企業がそこに食い込むのは難しくなるだろう」とアボット氏は語る。

 しかしカリフォルニア州パロアルトに本社を置くVMwareにとって、今回の延期は、「仮想化分野における現在の圧倒的なリードを強固なものにするために、さらに6カ月の期間が与えられることを意味する」と同氏は指摘する。

 さらにアボット氏によると、Microsoftはエンタープライズ市場向けにハイパーバイザーを拡張するのに苦労している可能性があるという。「この作業は彼らが予想していたよりも難しいのかもしれない」と同氏。そうだとしたら、MicrosoftがCitrixとの結び付きを強める可能性もある。Citrixは最近、オープンソースの仮想化技術のベンダーであるXenSourceを買収した。

 「MicrosoftはXenSourceの技術を公認の代用技術として提供するか、あるいは、その技術を手に入れるためにCitrix買収にまで進むかもしれない」と同氏は語る。

 Microsoftの広報担当者はブログ記事の中で、Windows Server 2008のリリースは、同社が以前から宣伝してきた2008年2月27日のローンチイベントに間に合うと強調している。このイベントでは、Windows Server 2008のほか、「Visual Studio 2008」と「SQL Server 2008」の発表が予定されている。

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