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» 2007年11月21日 05時00分 公開

ライバルからのプレッシャーが高まるSalesforce.com

アナリストらによると、Salesforce.comに対して、Microsoft、SAP、Oracleなどのライバルからの競争圧力が高まっているという。

[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOが、2006年から掲げてきた目標である10億ドルのランレートを2008年に達成するだろうと予測した翌日、アナリストらはSalesforce.comの将来の潜在的収益力に関する警告を出し始めた。

 Salesforce.comが11月15日に公表した第3会計四半期の決算によると、1億9200万ドルの売り上げに対して利益は650万ドル(1株当たり5セント)で、ウォール街の予測を1株当たり2セント上回った。

 Salesforce.comにとって頭痛の種となりそうなのは、世界最大手クラスの企業からの競争が激しくなっていることだ。これらの競合企業は、オンプレミス(社内運用)型ソフトウェアの販売で金もうけをした「保守派」のビジネスアプリケーションプロバイダーである。

 Salesforce.comは、新興のSaaS(Software as a Service)市場のリーダーと目される企業であり、先発者として明らかな優位を確保している。同社は人気の高いCRM(カスタマーリレーションシップ管理)ソフトウェアを開発するだけでなく、巨大なパートナーエコシステム、サードパーティーアプリケーションの取引市場(AppExchange)、オンデマンド開発プラットフォーム(Apex)を構築するなど、抜け目のない動きを展開してきた。しかしMicrosoft、SAP、Oracleといった企業が、オンデマンドCRM市場への進出に向けて精力的な動きを見せている。

 9月に「Business ByDesign」を発表したSAPは、ミッドマーケット向けのERP(Enterprise Resource Planning)スイートでさらに攻勢を強めようとしている。このスイートはサービスをベースとして一から開発されたもので、CRM機能も組み込まれている。

 Microsoftのオンデマンド型CRMスイートは年末に登場する予定だ。また、Oracleは先週の「Oracle OpenWorld」カンファレンスで、同社が2008年以降に開発するアプリケーションはすべて「SaaS対応」になると発表した。Oracleのラリー・エリソンCEOは11月14日の基調講演の中で、SaaSに対応した3つの新しいFusion Applicationのデモを行った。これらはいずれも、Salesforce.comのコアビジネスである営業支援に照準を合わせた製品だ。

 業界の財務アナリストたちも、こういった動きに注目している。

 Goldman Sachsのアナリスト、ササ・ゾロビック氏は、「われわれはSalesforce.comの株式については中立の評価を繰り返している」と調査メモに記している。「SaaSモデルへの移行が進む中、同社はオンデマンドCRM分野の先発者としてのメリットを享受しており、現在はこの分野のリーダーであるとわれわれは考えている」。

 しかし同氏はその一方で、「Microsoft、Oracle、SAPは、巨大なSaaS市場への進出を狙って強化されたCRM製品を次々と発表しており、Salesforce.comはこれらの企業からの(現実と話題性の両面での)プレッシャーの増大に直面する可能性がある。投資家は成長企業に資金を注ぎ込もうとするが、この規模の企業ともなれば成長と利益率のバランスが適正でなければならない。トップレベルの成長は本来、高い営業利益率を伴うものである」と指摘する。

 アナリストを対象としたSalesforce.comの収支報告の中で同社幹部は、グローバル市場での競争力強化につながるアジア地域での新たなデータセンターの設立などの投資のため、利益率の改善は小幅にとどまるとの見通しを示した。

 一方、Goldman Sachsによると、南北アメリカにおける同社の売り上げの伸びは前年比で引き続き低下傾向にあるという。同社の複数の製品ラインの収益貢献度が相変わらず不透明だと指摘するアナリストもいる。

 Wedbush Morgan Securitiesが11月16日に公表した調査メモは、「Salesforce.comの継続的なイノベーションは大いに評価できるが、製品カテゴリー別の収益貢献度に関する会計上の透明性が不十分な点が懸念される。オンデマンド営業支援の市場に参入する企業が今後増えるのに伴い、同社のCRM製品は価格面でプレッシャーにさらされる可能性がある」と記している。

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