Gartnerのアナリスト、アダム・サーナー氏は、このパラダイムシフトを「仮想世代への移行」と表現している。これは、従来のように人々が年齢や性別で結ばれるのではなく、共通の関心によって結ばれる世代である。
サーナー氏によると、Second Lifeのようなアプリケーションは、Facebookなどのソーシャルネットワークよりも没入性が高く、視覚性にも富んでいるため、人々の自己実現の手段として適しているという。
だがこれは、必ずしもすべての行為に適した手法ではない。3D世界は、例えば、ゆっくりとくつろいだ時間を過ごすのには素晴らしいかもしれないが、タスクを遂行するのに適した場所であるとは限らない。
「車を購入したいときや、知り合いが病気になったときなどは、仮想世界に入って人々の経験を聞こうとは思わない。ほかの人の意見を聞くのに最も適したツールは文字だ」とサーナー氏は話す。
Forrester Researchのアナリスト、シャーリーン・リー氏は、仮想世界に対して2つの見方をしている。同氏は、従業員が共同で作業を行う仮想の集合場所として、IBMなどの企業が仮想現実を利用するのは良いことだと考えているが、コンシューマー市場における仮想世界の可能性についてはあまり楽観的な見方をしていない。
リー氏によると、Second Lifeのような仮想世界は文字ベースのソーシャルネットワークほどの人気を獲得していないという。アバターとプロファイルを作成するのに時間と創造力が必要とされ、それを面倒だと感じる人が多いからだ。
「FacebookやMySpaceを見れば分かるように、多くの人々は1日に何回も出入りして友人と会話をしたり、連絡を取ったりしたいと思っている」とリー氏は話す。
しかしForrester Researchのアナリスト、エリカ・ドライバー氏によると、企業各社は仮想環境の構築を続けており、5年後には3Dインターネットが今日のWebと同じくらいの規模になるという。
シック氏もやはり、企業は顧客サービスソリューション、シミュレーション、業務のモデリング、出張が不要な仮想会議などを実現するために仮想現実の構築を進めると予想する。ユーザーエクスペリエンスは異なるかもしれないが、Facebookなどに見られるのと同様の機能を備えたビジネスベースのアプリケーションが登場するという。
ユーザーも企業も、仮想現実をどのように利用すればいいのか、まだ模索している段階だ。有効な活用方法が見つかれば、企業はそこから収益を得る方法を探し始めるだろう。
そのとき、仮想現実は世界にとって現実になるだろう。
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