カジノのサーバ室「裏」のウラ消費電力と闘う(1/2 ページ)

人々が夢と希望を賭けて一喜一憂するカジノ。その華やかな空間の向こうではITが活躍している。そんなカジノの裏側をのぞいてみよう。

» 2007年12月12日 07時00分 公開
[Tom Kaneshige,TechTarget]

このコンテンツは、オンライン・ムック「サーバ祭2007」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


飽くなき欲求に応えるために

 きらびやかな光とサウンドがあふれる野外アリーナでは、カントリーシンガーのランディ・トラビスやコメディアンのビル・コスビーなどのエンターテイナーがステージを賑わせていた。サンディエゴの東30マイルにあるインディアン居留地の中心部では、電気エネルギーが惜しげもなく四方へ放散していた。唯一の例外は、そこにあるデータセンターだ。

 2年前、CIOのモティ・ヴィアス氏配下のITスタッフが狭苦しいサーバ室で一番手近なコンセントに新しいサーバをプラグインしようとしたところ、施設管理部門から緊急連絡が入った。電気を使いすぎると注意されたのだ。新しいサーバを冷却するためには、もっと多くの電気が必要だったにもかかわらず、サーバ室の電力消費は容量をオーバーしつつあった。すべてはカリフォルニアの人々のギャンブルとエンターテインメントに対する飽くなき欲求に、同社が応えようとした結果だ。

 ヴィアス氏は電力とスペースを得るべく、新たにサーバ室を増設した。しかし、それは壮大な計画を前にした一時的な対策にすぎなかった。ヴィージャス・エンタープライズはその後、数百万ドルを投じ、省エネタイプのデータセンターを建設したのだ。

 「新しいデータセンターの構築に向かった要因には、ビジネス的なものと技術的なものがあった」とヴィアス氏は語る。「ビジネス的要因は、今日のビジネスをサポートし、明日のニーズに備えること。そして技術的要因は、ブレードサーバや仮想化、セキュリティ、将来の拡張性に備えて電気、空調を確保することだった」

ヴィージャス・エンタープライズCIOのモティ・ヴィアス氏

 ほかの多くのCIOと同様、ヴィアス氏もサーバ室を拡張する必要性に迫られたとき、エネルギー問題という大きな壁にぶつかった。米環境保護庁(EPA)の推計によると、米国内のデータセンターは昨年、全体で600億キロワット時、コストにして45億ドルの電力を消費した。その多く(場合によっては最大60%)は、サーバを冷却するためのものだった。すでにデータセンターは米国の総電力消費量の2%を占め、当然のことながら、それに伴う大量の二酸化炭素を排出し続けている。

 教育コンサルティングサービスのプロバイダー、アップタイム・インスティテュートによると、こうした数字は1999年から2005年にかけて40%近くも増加するなど、近年急上昇しているという。そして今後5年間で、電力需要は現在の2倍、1000億キロワット時を超えるというのがEPAの試算だ。

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