カジノのサーバ室「裏」のウラ消費電力と闘う(2/2 ページ)

» 2007年12月12日 07時00分 公開
[Tom Kaneshige,TechTarget]
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今後5年間で企業の90%以上が電力不足に直面する

 「データセンターの血液ともいえる電気の需要は増加の一途をたどっている」と語るのは、EPAの「エナジースター」プログラムチームリーダー、アンドリュー・ファナラ氏だ。1992年にスタートした同プログラムは、コンピュータのハードウェアなどの省電力化を推進するためのラベリング制度で、一定の基準を満たした製品には「Energy Star」ロゴマークの使用が認められる。「需要が増加すれば、価格は上昇する。すでにその兆候は現れており、おそらく電気料金は今後さらに上昇するだろう」とファナラ氏は予測する。

 こうした数字にピンと来ないなら、データセンター責任者の団体「AFCOM」が目を覚まさせてくれるに違いない。AFCOMは、今後5年間で全企業の90%以上が停電や電力不足によりデータセンターの稼働中断を余儀なくされるだろう、と警告しているのだ。また市場調査会社のガートナーも、2008年までにIT責任者の半数がデータセンターを稼働させるのに十分な電力を確保できなくなると予測している。

 こうした状況を正しく認識し、コンピューティング需要の増大に対応可能なスペースと電力の確保を図ることが、今後ますます重要になっているのだ。ヴィアス氏はこの深刻な問題を正面から見据え、6カ月かけて調査を行い、省エネタイプのデータセンターを設計した。

 計画段階では、ビジネスケース分析から電力供給、ローカルの天候まで、あらゆる要素を検討した。もちろん最新の技術も、新しいデータセンターで重要な役割を担う。「ブレードサーバと仮想化という新しいパラダイムは、空調から電力要求まで、従来の設計思想を根底から変更してしまった」とヴィアス氏は言う。

 ヴィージャス・エンタープライズは現在、ミッドマーケットで最もエネルギー効率に優れたデータセンターの1つを運用している。平屋建てのデータセンターは、ブレードサーバと仮想化に適した構造になっており、高密度なコンピューティング環境を実現している。また、慎重に検討されたレイアウトと空調システムにより、サーバは効率的に冷却されている。バックアップの発電装置も万全だ。データセンターにはローカルの電力会社から別系統で2本の電線を引き込んでいる。

 「それらの電源が落ちても、ただちにUPS(無停電電源装置)に切り替わり、数秒後に発電装置が立ち上がる」とヴィアス氏は力強く語った。

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