IBM、ソーシャルネットワーク可視化「Atlas」をリリース

新たな関係仮想化ツールの提供を通して、IBMがエンタープライズソーシャルネットワーキング分野への進出を加速させている。

» 2007年12月19日 17時17分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 エンタープライズソーシャルネットワーキングツール開発における市場リーダーの座を目指すIBMが、ソーシャルネットワーキング仮想化および分析ツールの最新セットを企業向けにリリースした。

 IBMの「Atlas for Lotus Connections」は、任意の事柄に詳しい重要な専門家を探すのに役立ち、彼らの関係を把握可能にする。また、ほかのユーザーの知人にも連絡が取れるという。

 ユーザー同士がつながり合い、コミュニケーションを図り、協働する手段として、企業がソーシャルネットワーキングツールを多用する傾向が強まる中で、Atlasは発表された。IBMの関係者は、12月18日にニューヨークの同社本社で開催された「Made in IBM CIO Virtual Labs Day」で、同ソフトウェアのデモンストレーションを行っている。

 IBMのLotus Connections上級製品マネージャーであるクリス・ラム氏は、イベントの前にeWEEKのインタビューに応じ、同製品は、時とともに蓄積されたソーシャルネットワークデータの統合がもたらす価値を追求するため、IBM Researchが4年にわたり力を入れてきた開発プロジェクトの結晶だと説明した。

 同スイートは、「Net」「My Net」「Find」「Reach」という4つのコンポーネントから構成されており、複数のグループ間のつながりや関係を図示することで、個人および会社のネットワークをより効果的に運用できるようにする。

 「Net」コンポーネントは、特定のトピックに関わる人々の中心地点や、同類のプロジェクトを遂行する中で形成された非公式なグループをグラフィック化して表示するものだ。

 ユーザーは「Net」を利用して、グループ内に存在するコミュニケーションギャップやボトルネックを把握することができる。これは、企業合併によって新たに社に加わったスタッフを探す際に、きわめて有用な機能だ。

 「My Net」は、ユーザー個人のネットワークに対応したNetであると言える。例えば、営業やマーケティングに携わる社員が、自分たちのソーシャルネットワークを理解し、運用して、契約を締結に持ち込むといった使い方などが考えられる。

 「Reach」はAtlasのソーシャルダッシュボード機能であり、自分と同僚の間に存在する隔たりを6段階で示すことができる。ある分野の専門家とコンタクトするための最短経路を割り出し、ネットワーク上で可能になるコミュニケーションのレベルに応じて、その専門家をランク付けする機能だ。

 「Find」は、その名の通り検索ツールだが、コーポレートディレクトリを超えた範囲を対象とし、検索結果に指揮系統やブログ、コミュニティーといったソーシャルデータに基づく情報までを含めることができる。

 ユーザーは「Find」を用いて、居場所、組織形態、隔たりの程度などを基準に、検索条件をカスタマイズできるという。こうした検索結果は、当該の専門家に付けられたコラボレーションランクをベースに並べ替えられている。

 Atlasは始めから、IBMの「Lotus Connections」ソーシャルソフトウェアプラットフォームと連係できるように作られている。IBMは2007年1月22日、プロファイルやブログ、ブックマークなどのツールによって企業界のコミュニケーション向上を図ろうと、同製品をリリースしていた。Atlasは同製品のアドオンサービスで、価格はエンタープライズインストールの規模に応じて変わってくる。

 Burton Groupのアナリスト、マイク・ゴッタ氏はeWEEKに対し、「非常にすぐれたエンドユーザー向けの『ソーシャル生産性』ツールだ。エンタープライズソフトウェアは『セクシー』であるべきだという昨今の論調を踏まえるに、同アドオンはLotus Connections全般の魅力を高めるのにも貢献するだろう」と語った。「組織内に新しく友を作り、彼らとの絆を深めて何かを成し遂げられるのは、エンドユーザーにとって大きなメリットだ」(ゴッタ氏)

 なおIBMは、Lotus Connectionsの最新版であるバージョン1.02の提供を開始したことも明らかにした。新版には、REST(Representational State Transfer)およびAtom標準に準拠したAPIが搭載されており、ほかのアプリケーションでLotus Connectionsサービスが利用できるようになっている。

 このほかにも、「Lotus Notes」「Lotus Sametime」「Microsoft Office」「Microsoft Explorer」「IBM WebSphere Portal」用のプラグインが実装され、「SUSE Linux」オペレーティングシステム、Mozillaの「Firefox 2.0」ブラウザ、Microsoftの「Active Directory」のサポートが追加された。

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