CodeGear――Borlandから分社後の1年間を振り返って(1/2 ページ)

CodeGearのCEOは米eWEEKとのインタビューで、親会社のBorland Softwareから独立して最初の1年間について語った。

» 2008年01月11日 06時00分 公開
[聞き手:Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 ツール開発メーカーであるCodeGearのジム・ダグラスCEOによると、同社は現在、勢いに乗っており、オープンソースとWeb開発の分野でビジネスチャンスをものにするつもりだという。Borland Softwareは2006年11月、開発ツール部門をCodeGearという社名で分社化した。2007年4月にCodeGearのCEOに就任したダグラス氏は、eWEEKの取材に応じ、CodeGearの製品、戦略および将来計画について語った。

―― Borlandから独立した事業部門になって1年が過ぎましたが、現在の状況はいかがですか。

ダグラス うまくいっています。CodeGearは利益を上げています。当社の製品は世界29カ国で3200万ユーザーが利用しています。つまり当社は、世界最大手のツールプロバイダーの1社だということです。また当社は、開発ツールだけにフォーカスしている唯一の企業です。CodeGearがBorlandから独立した事業部門になったとき、顧客や取引先を安心させるために、当社は将来性と活気にあふれ、利益を上げられる企業であると説明するのに多くの時間を費やしました。幸いにも、当初の混乱が一段落し、話題の中心が当社の経営状況から、われわれが提供している先進技術や、将来計画として打ち出したイノベーションの方にシフトしました。うれしいことに、この期間中、当社の開発チームは斬新な技術を市場に提供するという仕事に一心不乱に打ち込んでくれたのです。この1年間でわれわれは、驚くほどたくさんの新製品を発表しました――EclipseをベースとしたJBuilder 2007とJGearプラグイン、Delphi for PHP、Delphi for Win32、C++Builder 2007、3rdRailと呼ばれる新しいRuby on Rails製品などです。2008年も非常にエキサイティングな製品の発表が控えています。

―― CodeGearは現在でも、自社の売却、つまりBorlandからの分離を望んでいるのですか。

ダグラス 現在でもBorlandの戦略的な狙いは、開発ツール事業を切り離すことです。しかし、われわれは事業売却の推進や実施については、スケジュールを設けませんでした。当初の話し合いに基づき、CodeGearは独立した事業主体として設立されました。この組織構造のおかげで、われわれは開発者に価値を提供し、長期的な成功に向けて事業を最適化する作業に専念することができました。われわれの新たなフォーカスに対する顧客ベースからのフィードバックも、非常に好意的かつ肯定的なものでした。

―― BorlandとCodeGearでは、市場へのアプローチがどのように異なるのですか。また2008年には、この面で何か変化するのでしょうか。

ダグラス CodeGearは開発ツール市場に100%フォーカスし、広範な開発者および開発チームに個別の開発ツールを提供しています。一方、Borlandはアプリケーションライフサイクル管理に100%フォーカスし、ソフトウェアデリバリープロセスの管理と効率を改善するエンタープライズアプリケーションを提供しています。顧客や見込客については両社で共通する部分は多くありますが、われわれは顧客企業の異なる部門をターゲットにしています。つまり、両社のマーケティング戦略は異なるということです。運営面では、CodeGearは独立した経営チームおよび研究開発、販売、マーケティングの各組織を持っています。CodeGearとBorlandは引き続き、それぞれ独自に運営の改善と最適化を進めることになるでしょう。CodeGearは今後も完全に独立した事業として運営されます。

―― CodeGearでデベロッパーリレーションを担当するデビッド・インターシモーン氏は最近、ソフトウェア開発パラダイムに関する新たな見解を示しました。アプリケーションファクトリを通じて開発者の「意図」をくみ取るというものです。彼はこれを「アプリケーション駆動型開発」と呼び、アプリケーション開発の背後にある構造、進化、論理がアプリケーションの一部になるとしています。これらの要素およびアプリケーション自体はいずれも、再利用可能なソフトウェア資産としてほかの開発者と共有することができるということです。この考え方をどう思いますか。

ダグラス アプリケーションファクトリは、開発手法を変革するものになるでしょう。最初のIDE(統合開発環境)が登場したころを思い出してください。ちなみに、IDEを最初に考案したのはわれわれです。IDEは開発の生産性を大幅に改善しました。数年後には、IDEはコモディティと見なされるようになり、生産性の向上はピークに達したと考えられました。そこに登場したのが、コンポーネントベースの設計と視覚化です。

 またもや、新たなイノベーションによって生産性の大幅な向上が可能になったのです。アプリケーションファクトリの背後にある方法論は、次の時代の波を代表するものです。ソフトウェア、電気、機械などさまざまな分野での大幅な生産性向上をもたらすデザイン的なイノベーションの多くに見られる共通のテーマは、デザインの抽象化の現実的飛躍です。アプリケーションファクトリというアプローチも、そういったデザインの抽象化の現実的飛躍を実現するものであり、開発者が最初にアプリケーションレベルで考えることを可能にします。またこのアプローチは、企業が今日直面している最大の問題の1つにも対処します。それは知識の効率的な伝達という問題です。

 プロジェクトチームの変更、組織再編、従業員の退職、分散型開発の必要性などのために、企業は知的資本を活用するのに苦労しています。アプリケーションの論理と意図を捕捉することにより、企業は全社的に分散した知識の活用に関して大きな改善を実現することが可能になります。その成果として生み出されるのが、アプリケーションファクトリ、すなわち全社を通じて効果的に活用できる真に再利用可能なソフトウェア資産のリポジトリです。2008年中には、アプリケーションファクトリのコンセプトを適用した製品を発表する予定です。

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