Microsoft、新モデリング言語「D」の開発に着手(2/3 ページ)

» 2008年02月06日 20時53分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

“what”に着目する

 宣言型プログラミングでは、開発者の焦点はプロセス中の「どうやって(how)」より、「何を(what)」に当てられる。すなわち、「あるもの」を「どうやって作る」のかではなく、「あるもの」とは「どのようなものなのか」を記述していれば、それは宣言型プログラムというわけだ。あるいは、典型的な手続き型プログラムでは、開発者はコンピュータに特定のタスクを処理する方法を伝えるコードを記述するが、宣言型プログラムでは、開発者が求めている結果をコンピュータに詳しく指示すると言い替えてもよい。

 ボックス氏によれば、Microsoftは当該のモデリング戦略において、開発者が大量のコードを記述しないで済むようにすることと、自分が開発しているソフトウェアを正確に理解できるようにすることを目標に掲げているという。

 Microsoft会長のビル・ゲイツ氏は以前からモデリングを主唱しており、早ければ2003年から、モデリングに対するサポートを強化する意思があると公式に述べていた。ボックス氏も、Microsoftの上級マネージャーらとともに参加した社外の会議で、同社が今後取り組むべき最優先課題として、ゲイツ氏がモデリングを挙げたことを明らかにしている。ボックス氏がゲイツ氏に「どの取り組みが一番に心を惹かれたのか」と尋ねたところ、開発者が記述するコードの量を減らしたいゲイツ氏は、「モデリングが最も大切だ」と答えたという。

 Microsoftが進めているモデリングアプローチにはさまざまな要素があると、ボックス氏は述べる。中でも重要なのは、Microsoftプラットフォームにおける「データコード比率」の増大だ。「1980年代に「CASE(Computer-Aided Software Engineering)」がブームになり、同じような流れで「UML(Unified Modeling Language)」がもてはやされるようになった現状と重なる部分があるかもしれないが、本質は違う。ハードディスク上に存在し、動作するものの比率を見たとき、データがコードを上回っているようにするため、プラットフォームにそうした働きをさせるのが、われわれの目標だ」(ボックス氏)

 大半のシステムが未使用のキャパシティを抱えていることを踏まえ、Microsoftは、ユーザーがより大きな処理能力をデータに割り振るのを支援するソリューションに取り組んでいるという。例えば、検索およびインデックス化技術を利用し、データをモデリング仕様にすることなどが可能だと、ボックス氏は示唆した。

 宣言型プログラミングに関する革新的な技術をどれだけ目の前に突きつけられても、ゲイツ氏がそれらに対して最初に発する質問は、「『PowerPoint』でも書けるか?」なのだと、ボックス氏は話している。

 同氏自身、Lang. NET用のプレゼンテーションは、XAML(Extensible Application Markup Language)を含むMicrosoftの宣言型技術を用いて作製したそうだ。これには、Microsoftが同社のツールの使い勝手を向上させるために、どのような方向を目指しているのかを示すという目的があった。

 「ランタイムサポートのあるXAMLベーススキーマ言語を利用できるのは、実に便利なことだ」(ボックス氏)

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