「バベルフィッシュ」とは、どんな言語でも瞬時に別の言語に翻訳してくれる、英国のSFコメディ「銀河ヒッチハイク・ガイド」に出てくる空想上の魚です。スマートフォンは、バベルフィッシュに機能性を追加する方向で順調に発展しています。
日本で発売されている最新のSymbian OS搭載のスマートフォンの中には、2つの翻訳サービスが付属されているものもあります。
こうした翻訳サービスは、携帯電話ベースおよびネットワークベースでの処理を巧みに組み合わせたものです。
何年もの間、人々はスマートフォンをAPRU(端末1台当たりの月間事業収入)の向上剤と見なしてきました。その実用性および魅力から、スマートフォンはユーザー1人当たりの平均の月間売り上げを伸ばしているのです。これはネットワーク事業者が非常に注目している点です。
しかし、今後スマートフォンはIQの向上剤としても見なされるようになるでしょう。スマートフォンがあれば、これまでないほどに改良されたユーザーインタフェースでオンライン情報源にいつでもアクセスすることができ、あらゆる種類の疑問に対する回答を簡単に見つけることができます。つまり、生物学的な頭脳の内容がインターネット全体のデータ処理能力によって補完される――一種の拡張電子頭脳として機能する――のです。このようにして、スマートフォンはユーザーを賢くしてくれるという良い結果をもたらすのです。
スマートフォンの前途に横たわる潜在的な弱点の一つに、より高密度のサービスを提供する際に必要となる電力の増大があります。これは、電池寿命を短縮するというリスクを負っています。
Symbianは、パートナーと共同で複数のコアを使ったチップの使用を含め、最先端の技術を利用した消費電力削減に積極的に取り組んでいます。同時に、周囲環境からの電力取り入れ(携帯電話を持つユーザーの動きによる発電や電波自体からの電力抽出など)を含め、業界全体がさらにクリエイティブな解決策を探しています。2008年には、革新的なアイディアが出てくることを期待したいところです。
例えば、太陽電池による携帯電話充電器はすでに商業利用が行われています。また、英Orangeは、風力による携帯電話充電システムを試験的にデザイン、製作するようGotwindに委託しました。同システムは、グラストンベリー音楽祭にて実演の準備が整っています。消費者がいっそう環境を意識するようになるにつれ、このようなシステムの人気も高まることが予想されます。
スマートフォンの前途にあるもう一つの潜在的な弱点は、予想以上に多額のデータ利用料金が記された請求書を受け取ったときのショックです。こうした類の経験は、新たなサービスを試してみることを思いとどまらせるに十分なものです。「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」というやつです。
嬉しいことに、ネットワーク事業者はこの問題に非常に敏感に反応しており、人気の出てきている面白いデータサービスをフルに活用したくなるような、さまざまな価格プランを提供しています。2008年もこの傾向は続くと予想され、モバイル革命はフルペースで進むこととなるでしょう。
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