米IBMの上級副社長、「データセンターの課題はエネルギー」

日本IBMは2月26日、企業がITの全体最適化を図る上で利用できる同社の製品やサービスを紹介するイベント「IBM IT VISION 2008」を都内で開催。基調講演では米IBMの上級副社長が、次世代のエンタープライズ・データセンターへの取り組みについて話した。

» 2008年02月27日 12時26分 公開
[ITmedia]

 日本IBMは2月26日、企業がITの全体最適化を図る上で利用できる同社の製品やサービスを紹介するイベント「IBM IT VISION 2008」を都内で開催した。基調講演では、来日した米IBMの上級副社長が、次世代のエンタープライズ・データセンターへの取り組みについて話した。同時にデータセンター向けのメインフレーム最新版「IBM System z10」を世界に先駆けて発表した。

基調講演の最後に、日本IBMの大歳社長とザイトラー氏がメインフレームの新製品「IBM System z10」を世界に先駆けて発表した

 米IBMのIBMシステムズ&テクノロジーグループ担当上級副社長のビル・ザイトラー氏は「今後エネルギーコストの上昇によってデータセンターの運用コストが増え、企業の成長を制約するようになる」と話す。

 「今後5年間にほとんどのデータセンターはハードウェアと同じだけの金額をエネルギーに費やすようになる」とザイトラー氏。熱の除去に必要なエネルギーを考慮すると、全電力容量は今後80%から100%増えるとしている。

エネルギー問題について語るビル・ザイトラー氏

 このためにIBMは新たなコンセプト「次世代エンタープライズ・データセンター」を打ち出した。このコンセプトの柱は「簡素化」「共有化」「ダイナミック」の3つ。

 簡素化では、個々のサーバやストレージなどの仮想化や物理的な統合などを図る。エネルギー消費や人件費の削減を目指すという。また共有化が意図するのは、仮想化されたインフラストラクチャによる「全体最適」。仮想化したマルチベンダーのストレージ環境で、テストに掛かる時間を減らし、パフォーマンスを向上させた例などがあるという。

 3つ目のダイナミックを推進するのがクラウド・コンピューティングだ。IBMが打ち出す「IBM Blue Cloud」では、分散型でグローバルにアクセス可能なリソース網によるコンピューティングを実現することにより、企業のデータセンターがインターネットに近い機能を持つようになるといわれている。

 IBMは、仮想化を中心とした技術を提供するため、他社との提携も進めている。「Cisco、Juniper、Brocadeなど多くのベンダーとコラボレーションする」とザイトラー氏。

 次世代エンタープライズ・データセンターでは、仮想化によってIT利用者とIT資源との間にあるしがらみを破壊するなど新しい経済効果が発揮できるという。可視化や自動化による迅速なサービス提供、ビジネス成長を支援するための分析機能の強化などによって、データセンターを経営目標と一致させることも可能になるとしている。

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