Yahoo、口コミを活用したソーシャルアグリゲーション機能を発表

買収の瀬戸際に立たされているYahooが、ソーシャル検索分野において最近力を入れているもの――それが「Buzz」(口コミ)だ。

» 2008年02月27日 14時34分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 インターネット企業のYahooは2月26日、消費者による投票や検索のパターンを解析し、ウェブ上のニュースソースおよびブログから関連性の高い話題や映像を特定する機能を発表した。Microsoftが同社の買収にこだわるのも納得がいく、興味深い技術だ。

 「Digg」などのソーシャルニュースアグリゲーターと同様に、レーティングの高いコンテンツは、Yahooのトップページに編集対象記事として掲載される。こうした仕組みが実現すれば、コンテンツの発信元であるサードパーティへのトラフィックは大いに増えるだろう。

 消費者はBuzzを利用して、「New York Times」や「USA Today」といったメディア、偶然見つけたブログ、あるいはおもしろい写真や「YouTube」のビデオなどからコンテンツを選び、話題性のある出来事にスポットライトを当てていく。

 消費者が気に入ったコンテンツに投票したり、検索したりすることで「Buzz Score」が決まり、高いスコアを獲得したものがウェブの最高ランクコンテンツになるという。投票と検索結果を組み合わせた同機能は、Yahoo経由でトラフィックを稼ぎたいと考えているパブリッシャーには、確実な手段として受け入れられるはずだ。

 Yahooは、Buzz参加パブリッシャーにオンライン会員証を発行し、読者がリアルタイムで投票を行い、コンテンツを投稿できるようにする予定である。Buzz Scoresで最高得点を上げたコンテンツは、発信元のパブリッシャーのサイトへ直接リンクを張る形で表示される。また、同コンテンツは「Yahoo.com」の編集者にも送信されるため、Yahooのホームページに掲載される可能性も生まれる。

 ユーザーはBuzzから、Yahooのサービスはもちろん、Diggや「Facebook」「Propeller」「Reddit」「Stumbleupon」といったソーシャルアグリゲーションサイトへ、コンテンツを上げることが可能だ。

 同サービスはまだβ版だが、恩恵にあずかっているというパブリッシャーは、すでに100ほどもある。「Wired.com」によれば、Buzzのおかげで、トップ記事として取り上げられてからわずか2時間以内にページビューが200万を超え、前月のYahooからの参照トラフィックを1400%上回ったという。

 Yahooは、パブリッシャー同士がコンテンツを共有し、より多くの広告主とつながって集客力を高めるコンテンツ交換体制を、最終的には作り上げたいと考えている。そのために同社はAPIを公開し、パブリッシャーがカスタマイズされたBuzzモジュールやショートカットを自らのサイトに追加して、頻繁に口コミ紹介されている商品や、関連分野の人気コンテンツを提示していけるようにする予定だ。

 Yahooはこれまでに、Yahoo検索そのものをオープン化して、サードパーティが次世代の検索システムを開発したり、提供したりするのを促し、検索結果を表示する仕組みの改善に努めてきた。

 検索語、概要、URLに加え、ユーザーはレーティングやレビュー、イメージ、詳細なリンク、Yahoo検索結果ページのその他のデータなどを見ることができるようになる。

 BuzzおよびオープンYahoo検索の土台には、同社が5億人以上のユーザーの興味や関心を刺激しようと行ってきた、数々のソーシャル系の取り組みが存在している。

 例えば2007年10月、Yahooは、他者が先に検索したクエリーを利用し、検索結果を表示できるよう改良した検索エンジンの新バージョンをリリースした。

 また2月初旬には、ユーザーのソーシャルネットワークと電子メール/インスタントメッセージング/テキストメッセージングプラットフォームを連動させる、モバイルコミュニケーションスイート「oneConnect」を発表している。

 この機能を使えば、ユーザーは自分のアドレス帳から「MySpace」や「LinkedIn」のアカウントにアクセスし、更新状況をチェックしたり、写真をアップしたり、複数のネットワーク上におけるコンタクト相手の最近の行動を確認したりすることが可能になる。

 カリフォルニア州サニーベールに拠点を置くYahooに対し、Microsoftが2月1日に446億ドルという買収額を提示したのは周知の通りだが、Buzz、オープン検索、OneConnectといったサービスが、同社の魅力を高める要素となっているのは間違いない。

 とはいえ、Yahooは2月11日にMicrosoftの申し出拒絶し、投資家の怒りを買ったうえ、Microsoftによる敵対的買収を許す素地を作ってしまった。

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