戦略的なWebサイトは“分析”から

Webで情報発信を行い優位な立場を保ち続けるためには、同一カテゴリーのサイトと競わなければならない。企業が戦略的に情報発信する秘けつは、ニーズを的確に判断することだ。

» 2008年03月03日 00時00分 公開
[ITmedia]

 ここ10年でWebサイトの在り方が様変わりしている。

 従来であれば、企業の玄関としてでも作っておけばよかったものが、最近ではWebサイトを基盤として事業展開を行う企業や個人事業者などが増えている。

 商品を販売する以外にも、顧客や見込み客に対してサポート情報を載せたり、商品やサービスの詳細情報を発信するなど、その用途はさまざまだ。これだけの広がりを見せている理由の1つには、利用人口の増加が挙げられる。2006年には利用者が国内人口の7割に達しており、ケータイからのアクセスがPCによる数を上回ったという。この情報だけでも、年齢層やアクセスする時間帯の傾向が想像できるだろう。しかし、この情報もすでに3年以上前のもの。その後、総務省からの統計情報開示はないが減少することはないはずだ。そして、最近の話題では、ネット広告が雑誌の広告費を上回ったという、電通の調査結果もある。

 これほどまでの市場拡大からすれば、さまざまな業種でインターネットを利用したサービス展開と、可能性の追求が期待できることにほかならない。

情報を届けることの難しさが出てきた

 インターネットは、TVやラジオ、雑誌などと異なり、情報発信手段がオープンである以上、情報ソースは増える一方である。発信するためのコストが比較的安価であることも拍車を掛けている。これでは、何らかの対策を講じない限り、本当に情報を届けたい読者への導線が確保できないということになる。ここに、インターネットならではのノウハウが必要、という難しさもあるのだ。

 多くの情報発信者は、検索がトレンドの1つとなっているためにGoogleやYahoo!でヒットしやすいように最適化したり、目立たせるための“工夫”に躍起だ。一方で、インターネット以外のTVや口コミからの流入も注目されているものの1つだ。最近のTV CMを見れば誰もが気付くほど、キーワード検索の誘導が当たり前になっている。これらの情報による特徴は、ある日(ある時間)に突然アクセスが集中するといった動きがあり、その流入具合を情報発信者が察知することこそが重要だ。このピークを知らなければ、ビジネスチャンスを逃してしまうだろう。もちろん、ここではどのようにマーケティングを行うかという点も重要な要素の1つではある。

 幸いなことに? Webサイトのアクセス状況はすぐにでも把握できるツールが用意されている(「Web解析」や「アクセス解析」ツールなどと称されるもの)。このツールで得られた情報を生かし、フィードバックすることが前述したビジネスチャンスを的確につかむための鉄則と言える。そして、先人のベストプラクティスも数多くあるため、これらの情報を元に自サイトに生かすことも大切だ。

アクセス状況を的確に知るためには

 アクセス(ブーム)の状況を知るためには、特定のツールが記録する手法に注目するのもポイントの1つである。

 ツールには、必要な情報だけを収集するか、最大限の情報を記録し、その後に整形して見るか? というそれぞれのコンセプトがある。前者は現場に則した速報性を、後者は経営レベルでも満足できる総合的な分析重視といった、大ざっぱではあるものの分類することができる。

 その記録手法のトレンドとしては、インターネットとWebサーバの間にパケットキャプチャ型のログ収集のための記録ハードウェアを設置する手法、そして、個々のWebページにビーコンタグを埋め込みログ収集を行う手法が挙げられる。それぞれにメリット、デメリットがあるが、効果やコスト、運用リソース配分から選択することが多い。

 総じて重要なことは、流入を的確にとらえ、顧客となるであろうユーザーを誘導する対応フローを確立することである。

 例えば、売りたい商品をいちばん目に付きやすい場所に移動する、お得感を出すように文字を書き換えてみるなどをスムーズに行う必要があるだろう。そのために、チャンスをとらえられるツールが必要なのだ。

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